カテゴリ:読書・映画
![]() その時私は、“愛する人のために君は死ねるか” というサブタイトルのように、 愛する人のために死ねるだろうか、と 真剣に考えた。 その時の私は『死ねない』と思った。 何故なら、その頃の私は“死”を一番の恐れたからである。 それと時を同じくして、 図書館では、好きな男の子の名前を 図書カードで発見して、その本を借りて読んでみた。 ドストエフスキーの『罪と罰』である。 純文学というものを読まなかった私には、 かなり難解であまり理解できなかったように思う。 しかも根をつめてその本を読んだためか、 その直後にヘルぺスが胸腺のあたりにできてしまった、 という思い出の書物でもある。 ただ、その本を理解することはむずかしかったけれども その本のなかに出てきた女性、ソーニャが 忘れられなくなってしまった。 最近、その彼女と同じ心を持った女性の出てくる映画を見た。 『赤目四十八瀧心中未遂』である。 その映画の女性は、現実には死ななかった。 けれども、愛する兄のために、 彼女は、博多の町に売られて行く人生を選択した。 そして、彼女の心の一部は、そこにほおむられた。 蓮の花の美しさは、 完璧な、美しい人生を生きた象徴ではなく、 むしろ、彼女たちのように、 どろどろとした、汚れた現実の中に身をおきながら、 燐として透明なものを失わなかった、 その美しさを示しているのだと、 私は、後になって思うようになった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.09.13 09:39:12
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