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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2013.03.29
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カテゴリ:東日本大震災
現在、ずっと読みたかった「たたかい続けるということ」(馬奈木昭雄、聞き書き阪口由美、西日本新聞社、2012年)を読んでいる。
正確には、移動時間中に、1度、通しで読了したのだが、余りにも感動して、本棚に戻せず、いつも鞄に忍ばせて、好きな部分を読み返している・・・といった具合なのでいつ「読み終わる」のか自分でもよく分からない。

馬奈木弁護士は、水俣病訴訟、じん肺訴訟、諫早湾干拓工事差し止め等(「等」という言葉でくくるのが本来不適切な程、重厚な問題ばかりです。本巻末についた6頁に及ぶ年表は圧巻の一言!)に取り組んできた弁護士。本書は、「人とは何か、権利とは何か、国とは何なのかを正面から問い続けた運動の歴史」(後書き)を馬奈木弁護士の生き様を通じて伝える本で、法律家はもちろんのこと、いわゆる権力を行使する側の方も含め、すべての人に読んでいただきたい本です。

読みながら、気付かないうちに、涙がぽろぽろ頬を伝っていく。
馬奈木弁護士の情熱が気迫が、心に染みこんでくる文体。聞き書きを担当された阪口記者は、馬奈木弁護士の人間性に惚れ込んでいらしたのではないでしょうか。そうじゃなければ、こんな生き生きとした文章は書けるはずがありません。
心に響く箇所が余りにも多く、まだ「読み終わっていない」私としては、ちゃんとした書評がまだ書けません。

ただ、今の私の心にえぐるように突き刺さったのは、馬奈木弁護士の、とにもかくにも、現場に行き、被害者に寄り添い、被害者の苦しみを言葉にすることをとことん追求するその姿勢。

どんな被害も現場にいかないと本当の意味で分かったとはいえないのですよね、これは、弁護士としては、基本中の基本。その基本中の基本が、何故、痛烈に響いたか。
それは、私が、この一年、福島に、相馬に行けていなかったから。いつも忸怩たる思いでした。

31日は、相馬ひまわり基金法律事務所の引継ぎ式及び南相馬ひまわり基金法律事務所の開所式で、ようやく相馬に行けます。
ハードスケジュールの中、今回は、一年前に警戒区域が解除され、人が立ち入れるようになった南相馬市小高区を視察してくる予定。
ブログで何度か、原発事故の被害は、「見えない地獄」、「見ることが許されない地獄」と書いてきました。人が立ち入れるようになったからといって、単純に地獄が可視化されたとは思わない。
それでも、現場を見ることで、その被害を言葉に載せることができたなら、既に原発事故を風化させてしまっている社会に、被害の実態を届けることができる。

だから、私は、行くのです。絶対、言葉にするんです。

本当のことを言います。
正直にいうと、私は怖いのです。
私は、こじんまりとのどかで、空がどこまでも高くて、空気も人の心も明るく澄んでいる小高しか知らないんです。小さな綺麗な街でした。

でも、伝え聞いている小高の壮絶な風景は、最早私の知っている小高ではない。聞いているだけでも、心が波立ち涙が止まらなくなってしまう。
過酷な現実を現場に立って、私は果たして受け止められるのだろうか。崩れ落ちてしまうんじゃないだろうか。

でも、私には、崩れ落ちる資格はない。私より、百万倍も辛い人たちがいるのに、私が崩れたら駄目なんです。私には、言葉にならないほど辛い悲しい想いを言葉にする責任がある。だって、私は法律家だから。言葉の力、理屈の力を信じる職業だから。絶望の淵で希望を語る仕事だから。

言葉にする。絶対にそうする。
自分に強く強く言い聞かせています。
訪問記、必ず書きますので読んで下さい(と宣言して自分を追い込んでみました)。

沢山の懐かしい方々との再会も楽しみに行って参ります!






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Last updated  2013.03.30 01:54:00
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