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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2014.08.11
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カテゴリ:東日本大震災
先日、静岡県に、遠く神戸から、津久井進弁護士が来て下さった。
10年前に設立された県内11士業が参加する「静岡県東海地震対策士業連絡会」にて企画した研修会の講師をお願いしたためである。

正直に白状すると、この士業連絡会、過去10年間、ほとんど何の活動もして来なかった。
しかし、東日本大震災を経て、職種を超えた専門家の連携が被災者支援になることを目の当たりにし、幹事会が弁護士会に回ってきた今年、そもそも「士業連携」とは何か、どんなことができるのか、まずは皆でイメージを共有するところから始めようじゃないか、ということになった。

そこで、阪神大震災後に設立された士業横断組織である「阪神・淡路まちづくり支援機構」の事務局長であると共に、災害法体系のエキスパートである津久井先生に、今までのご活動を詳しく教えて頂き、今後の我々の活動に羅針盤を得たいというのが、今回のお願いの趣旨だった。

夏真っ盛り、会場には、多種多様な士業が座り、自治体職員も参加して下さり、熱気が溢れていた。
津久井先生はご多忙中、非常に誠実に準備して下さり、2時間のご講演中、情熱に裏打ちされた果敢な実践に、文字通り心が震え続け、もっと早くにお聞きしておけば、自分の活動も随分違ってきたのではないかと後悔の念すら覚えた。
この素晴らしい講演を再現することは到底できないがご講演のキーワードを幾つか取り上げながら、私の感動を言葉で残しておきたい。

【2.5人称の視点】

津久井先生らしく、穏やかかつ軽妙な語り口で始まったご講演だったが、私は、早々から自分でもまったく予期せぬところで心が震えてしまった。
津久井先生が、自己紹介に代えて、阪神大震災当時のことを振り返りながら「なぜ災害に関わるのか」をお話された際のことである。

「私は、当時、研修所にいたんですね。故郷の災害ではあったけど、私はテレビで見ている。映像にはこの世のものとは思えないすごい光景が映し出されているわけです。一緒にテレビの前にいる、私が神戸出身だということを知っている他の修習生が、大丈夫、大変だね、と心配してくれました。彼らは、少しも茶化していなかったし、とても真面目だった。でも、私は、すごく孤独でした。冷たい、というか、一緒の画面を見ていても、結局彼らは他人事なんだなと思ったというか。私は第三者ではないわけです。全然立場が違うと思った」

私は、この言葉を聞いた瞬間、自分でも意識しないうちに、涙がぽろぽろと溢れ出てきてしまい、咄嗟にハンカチで目を押さえる羽目になった。封印していた3年前の胸を締め付けるような孤独感が突然、一気に私の心に押し寄せてきたからである。

大切な場所が津波に襲われて飲み込まれた上に、追い打ちをかけるように原子力発電所が爆発した映像を、これは夢に違いない、明日になれば誰かが夢だと言ってくれるはずだ、と心で叫びながら凝視していたこと。
周囲の沢山の人が「相馬、大丈夫?福島大丈夫?」と心配して声を掛けてくれていたこと。
でも、一方で、うららかな春の陽射しに包まれ、いつもと変わらない明るい笑顔が街に溢れる当たり前の日常生活が静岡には存在していたこと。
胸が張り裂けそうに寂しかったこと、誰にも私の気持ちは分かってもらえないと思ったこと。
悲しみの行き場がなくて、本当にどうしようもなくて、ブログを書き始めたこと。

3年間経って、忘れかけていた悲しみが、思いがけず、それこそ、あの日の大津波のように押し寄せてきて、自分でもびっくりした。
でも、それと同時に、敬愛する津久井先生に、あの悲しみが原点にあるのだ、ということをお聞きできた大切な瞬間にもなった。

当たり前のことだが、「当事者」と「第三者」は違う。
「当事者」しか「当事者」にはなれない。
でも、当事者以外は、全員「第三者」というわけではない。
たとえば、私は「当事者」ではないが、「第三者」でもない。
その「当事者ではないけれど第三者でもない」、という立場は、私の場合は、特殊な個人的事情で立つことになったわけだが(であるから、私の努力や想像力で得た立場ではない)、もし想像力を駆使して多くの人が、この立場に立つことができれば、被災地支援のあり方は随分変わるのではないか。

津久井先生は柳田邦男さんの言葉を引用して「2.5人称の視点」を持つことが大切であると表現されていたが、振り返って考えてみると、今回の震災で被災者に寄り添う人の多くは、おそらく想像力を力強い翼にされているのだろう、2.5人称の視点を持っていらしたし、現在進行形で持っていらっしゃる。敬服の一言である。

かくいう私は、阪神大震災の時も、そして、その後に起こった沢山の災害時にも、完全なる「第三者」でしかなかった。東日本大震災後に目の当たりにした、2.5人称の視点を持って動いてきた方々とは別人種だったわけである。
そして、この完全なる「第三者」であったことが、どれ程多くの「当事者」を傷つけたか、今更遅すぎるが良く分かり、痛烈に反省しているし、東日本大震災以来、あらゆることにつき、2.5人称の視点を持つようにつとめようと思っている。

そして、私は、どんなに辛くても、あの悲しみを決して忘れずに生きていきたい。

【不安が最大のニーズ】

被災地における専門家相談の役割を語ってくださった際に出てきたキーワードは、「不安が最大のニーズ」だった。「どうしたらいいか分からない」という人の傍で「一緒に考えましょう」と寄り添うこと、それこそが専門家の役割である、というご発言は、大きく頷いた。
これほど、被災地相談、そして、私たちの日常業務である法律相談の本質を突いた言葉を聞いたことがない。

法律家は、普段から、リスクも含め、色々なことに頭を巡らすことに慣れている。
そのため、頭でっかちにいろいろなこと考え、そして、できない理由、うまくいかない理由もついつい探し当ててしまい、及び腰になりがちだ。

まずは、そこにいる目の前の人の不安に向き合い、現場から不安を拾い、すぐに解決できなくても現場から考えること、つまり徹底した現場主義こそが、机上の不安や懸念を打破することにつながる。

津久井先生のお話をお聞きしながら思い出したのが、岩手三陸ひまわり基金法律事務所にて献身的な活動を続けていらっしゃる在間文康弁護士の言葉だ。在間さんとは、先月行われた東北公設事務所合同旅行の際に、初めてゆっくりお話する機会があり、しなやかであたたかな感性と地道かつ被災者に寄り添う実践に心が熱くなり、すっかりファンになってしまった。

在間さんは、仮設住宅を巡回する法律相談をずっと続けていらっしゃる。
この実践の中で思うことを、こんな風に話して下さったのだ。

集会所で大勢の人に説明するのはまだ良いです。お役に立てたなあと思うこともあります。
でも、個人の仮設住宅を訪問した後の帰路は辛いです、無力感で一杯になります。
聞いていることしかできない、答えられない問題ばかりです。
僕は自分の家に帰る。でも、あの方は、僕が来ても帰っても、何も、何にも変わらない。明日も仮設住宅にいらっしゃる。僕が行っても行かなくても、暮らしに何の変化もないのです。
それでも、僕は、行く意味があると思っているんですよ。
僕は現場からの声を挙げて行くのが弁護士の使命だと思っている。現場の声は、自分が行かなきゃ聞けないですし、自分が発信しなくちゃ誰にも届かないですから。


・・・素敵なご発言ですよねえ。
「不安が最大のニーズ」という言葉を聞いて、在間さんのご活動は、まさにその言葉を体現している、と感じた。
そして、多くの人とこの言葉を共有できれば良いなあ、と改めて思った。

【法律相談の成果=自主的紛争解決機能】

法律相談の最大の効果は、実は、法律相談の個々の「回答」そのものというよりは、市民の間に「自主的紛争解決機能」が備わることだという鋭いご指摘には目から鱗が落ちるような気がした。

「法律やルールに則った解決が存在すること」が身近な例で広まることで、パニックが治まり、落ち着いて考えよう、自分たちで解決できないか考えようと思う人が増えるということだ。
現に、阪神大震災でも東日本大震災でも、集中的な法律相談が投下されたことで、裁判所を利用する件数は、震災前より逆に減ったとのこと。これは、関東大震災の時とは対極にある現象らしい。横浜地裁で多くの実務法曹が犠牲になるなど、司法の拠点が潰れてしまったことも、関係があるというご指摘、なるほど、と思った。

それにしても、津久井先生は、歴史学者ではないかと思うほど、過去の震災の歴史にもお詳しく、お話に深みがあるところが本当に素晴らしい。

震災当時の神戸会の副会長でいらした滝本雅彦先生のお言葉、「瓦礫の中に法の支配を示す」は象徴的な格言ですね。

そして、「法の支配を示す」ことがミッションなのだから、どうやったらそのミッションが果たせるかを考えることがとても大事だと思った。自分たちの役割を自分たちの思い込みで限定するなんて、勿体ない。

【専門家によるワンパック相談】

そしてメインテーマでもあった士業連携の実例として、怒濤のようにご紹介のあった阪神・淡路まちづくり支援機構の事例紹介には、ただただ圧倒された。

はっきり言って事例を聞いただけでは、皆目、解決方法が分からない相談ばかりなのである。
「自主的共同建替への税理士等の支援」、「白地地区に対する支援」、「広域地盤移動地区における境界の再確定事業の支援」、「細街路整備、幅員拡張、小規模世帯の共同建て替え」・・・この項目を見ただけで、何それ?解決も何も意味が分からないよ?とお手上げになってしまう人が多いのではないでしょうか。

しかし、このような難しい問題に、阪神・淡路まちづくり支援機構は、一級建築士、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士等が専門分野を互いに活かしてドリームチームを結成し、知恵を結集してで解決にあたるわけでして、1人ではできないことを皆の力でやり遂げているわけですね。
勿論、その過程には、悩みも苦労も多いのでしょうが、それでも、専門家冥利に尽きるだろうとちょっと羨ましく思ってしまったくらい。

ただ、私は、単なる有資格者の寄せ集めではなく真の意味での「専門家」集団だからこそ、このような解決ができるのだとも思った。

ご講演をお聞きしながら、以前、哲学者の鷲田清一氏による「専門家」の定義に感動してブログに書いたことを思い出した。

http://plaza.rakuten.co.jp/yyy0801/diary/20120618/

信頼できる専門家とは、特別な能力のある人でも、じぶんたちに代わって責任を取ってくれる人でもなく、だれにも答えがみえない問題を「いっしょに考えてくれる」人のこと。

津久井先生のご講演をお聞きしながら、私は「いっしょに考えてくれる人」でありたいし、「いっしょに考えてくれる人と職域を超えてつながり連帯したい」という思いを強くした。

その他、一瞬一瞬に感動の瞬間があって書ききれないですが、本当に素晴らしいご講演でした。津久井先生、本当にありがとうございました。夢みたいな時間でした。

ご講演の後は、士業横断懇談会!
日頃、お話する機会がなかなかない不動産鑑定士さん、税理士さん、司法書士さんたちと親しくお話でき、秋には、「不動産鑑定の仕組み」を不動産鑑定士さんに教えて頂こう!企画も決定し、今後の士業連携が楽しみになりました。

最後に、静岡県弁護士会災害対策委員会の皆様、本当にお疲れ様でした。
冒頭で、3年前、私は、静岡で寂しくて悲しくて・・・等と書きましたが、今、自分は一人だなんて全然思わないのは、皆様のおかげです。これからも宜しくお願いします。





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Last updated  2014.08.12 01:49:54
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