◆中国高速鉄道計画の野心・思惑は崩れるか?
●最近は中国への関心が募り、いろんな記事が目に付くようになった。しょうがないよね。かの国では かつての日本が一番輝いていた時期に書かれたエズラ・ボーゲルの JAPAN AS NO1 が 今 多くの人に読まれてるようで、陰りが目立つようになった中国経済と、かつての日本を重ねて観ている様子だ。●タイの高速鉄道計画は、結局 どうやら日本の新幹線でやるようだ。一部先行して中国が受け持つ路線もあるが、比較的短い距離で、そちらはタイは建設を自己資金・自国企業でやり、中国企業は車両や信号システムなどの納品だけという事のようだ。距離も日本が受け持つのが700KMという事だから、ほとんど日本の勝利という事だろう。さすがに悔しいのか失望の記事が多い。英国のメディアも ジャワ島の失注をこれで取り返したという表現をしていたね。●次はシンガポール・マレーシア間のプロジェクトだが、ひと月ほど前にシンガポールに中国が納めた地下鉄車両が、走行に重要な部品のひび割れが、75%にもなってほとんど走ることができなくなった。結局その部品 台車と箱を繋ぐところなんだが、日本製に全て替えるんだとか。なんだか中国製で大丈夫?って気もするよね。●中国内にも、さすがに自画自賛はいい加減にやめてくれ・・という意見も出てきた。強気な話とは裏腹に、日本のパクリで作り上げた自国高速鉄道では、他のサービスも含めて日本の方が そりゃ優れてる・・なんて嘆き節の記事も見るようになった。●中国の一帯一路だったか、海と陸を中国に全て高速鉄道で結んで、中国中心の経済圏を作る野望は、中国の思惑とは別に、案外と他の国からは警戒されてるようだ。ベトナムなんかは、共産党軍が中国製高速鉄道で乗り込んで来られたら困るだろう。インドだって仮想敵国のシステムを入れるわけもない。タイでも中国から直接乗り入れはできないはずで、繋がってないのだ。中国の思惑からは、大分はずれてるね。そもそも過剰な鉄鋼や安価な労働力を他国に持ち込んで、ファイナンスをつけ、いかにも作ってあげる式のやり方では、まともな国では気分が良いはずがない。●インドネシアも結局、うまくできなければ、あんたの責任で後始末まですべてやるんなら・・どうぞ・・・式の対応をしているよね。こちらも170KM位の路線だが、残りのもっと長い距離は、高速鉄道ではないが、既存路線の改修や整備を日本が受け持つことになった。結局 自国中心の野心は、周辺各国からは案外と見透かされてるって事だろう。●かつて満州帝国を作ったころの日本が、ロシアから奪った鉄道権益保護の名目で軍隊を常駐させ、経済的侵略を行ったことを彷彿させられる様な話だね。●しかも、遅れてきた帝国主義国家の様相を見せる中国に、警戒感を持つ国は多く、普通ははそんな国に、自国の巨大プロジェクトを任せるには、よほどの国益がないと難しいだろう。米国しかり、ベネズエラしかり、多くの海外高速鉄道経計画が頓挫している、●今 中国は国内の権力闘争の真っ最中で、習近平の立位置はかなり厳しい。南シナ海仲裁裁判は完敗、経済指標はひどく悪化、貿易額が輸出・輸入とも大幅減にもかかわらず、怪しげなGDP統計の伸びだけはそこそことか・・国際ルールを守らない国・中国のイメージが固まりそうな焦り、など危機と言ってもよい環境だ。●昨年AIIB設立で味方を増やした感のある中国だったが、経済指標の悪化を踏まえて、通貨・元の国際化は今年11月のIMFの国際通貨(SDR)になるかどうかの瀬戸際になっている。貿易決済で元は 一時円を抜きドル・ユーロ・元・円の順位だったが、なんと今はカナダドルより下廻り、世界6位の通貨にまで下落した。果たしてSDRがそのまま実施されるのか疑問だ。為替操作の疑いさえあるからだ。●さらに問題なのは、2001年だった?か、WTO・世界貿易機関に、初めて加わり自由貿易の恩恵を受けていたはずが、今年、その権益が自動更新されるかどうかの微妙な問題さえある。鉄鋼など過剰在庫を海外に輸出し市場の混乱を作り出すような国に、WTOの一員を認めるべきでない・・という見方が加盟国から出ているのだ。●こんな中国を取り巻く環境は、対外強硬策で乗り切るしかなくなり、南シナ海・東シナ海への冒険に繋がる。なんとも厄介な お隣の大国だね。