◆トランプの勝利 ドウェルテの勝利 世界は面白い
●さて世界から注目の米大統領選挙が決着した。米国はかつて80%強が白人であった国家だが、人口が3億人をこえた大きな理由が、ヒスパニック系を中心とした増加で、約4割を占めるようになった。虐げられたと感じるプアな白人層の意識に気が付かなかったというのが、クリントンの誤算だったのかもしれない。●大して興味をもってなくて、どうせクリントンだろうと思っていた筆者も大多数の人と同じ、えっという感想だった。しかしおそらく中国の人民解放軍は、固唾をのんで観ていたと想像できる。1月に新政権の骨子が決まり、対中国への、とりわけ南シナ海へ対応する国防長官が誰になるか?続いて8月に予定される米太平洋艦隊のハリス司令長官(この人 中国からは航行の自由作戦を実施している対中強硬派と思われている)の任期が終え、次期司令長官が南シナ海に対してどう対応するかが、南シナ海覇権に大きな影響があるからだ。●また西沙と南沙諸島に滑走路をつくり、点の支配を確保したかに見える、中国が、フィリッピン沖のスプラトリー諸島をどう扱うかで、三角形の面による支配ができたりできなかったりする。筆者はこの点では、米国嫌いのドウェルテ大統領とトランプ大統領の相性は良いのではないかと勝手に思っている。似た者同士の共感があるのではないかという感想だ。●話は変わり、漢字は古来、中国から日本が輸入して日本文化に取り込まれた。ところが日清戦争で日本が中国に勝ち、その結果、かの国から留学生が日本に押し寄せた。確かその数、1万人強、家族をいれれば数万人に成る。その時の影響で、例えば、中国で日常的に使われる言葉の多くが、実は日本製だ。中国社会科学院(最高学術機関)の見解では、組織・規律・方針・政策・理論・経済・科学・商業・幹部・健康といったものが代表的なものだが、多すぎて列挙できないほど、現代中国は日本からの輸入漢字で運営されてる。●大して明治維新の 明治は、古代中国の書物・易経からもたらされたもので、維新は最古の詩編・詩経から来たものだという。つまり明治までは、中国は日本の師だったわけだが、明治以降は、政治や軍事・改革 ひいては礼儀や風習に至るまで日本の影響を受ける事に成ったという。●留学生は日本風の西洋知識を学び、日本の書籍や教科書が翻訳されて、現代中国に大量の日本語が導入されたらしい。したがって、日本語由来の言葉を排除したら、もはや会話が成り立たなくなるほどらしいのだ。●時代は巡り、永らく歴史の華舞台から遠ざかっていた中国が、再び勃興しようとしてあえいでいる。GDPではようやくその人口に見合う規模になってはきたが、それでも一人当たりでは日本の四分の一以下に過ぎない。その他 社会制度、年金や医療制度・教育・匠の精神・礼儀など、何をとっても日本に及ばず、その面では冷静に見ており、経済に陰りが出た今の中国では、日本に学べ・・というメディアの声が盛んに聞こえてくる。●トランプになって日本がどう変わるかはまだ未知数だが、在日米軍が減るような事態がおき、アジアから撤兵するようなことがもし起これば、日本の軍事費は増加して、すぐにGDPの2%を超え、専守防衛のスタンスが崩れ、核兵器保有が現実味を帯びてくるのは、目に見えてくるようだ。おそらく攻撃型空母などの建造がされて、何やらかつての帝国海軍の復活さえ見えてくるようだ。それを望む勢力も日本には居るだろう。●大中華圏の栄光の復活・中国の偉大な夢という習近平の方針が、周辺国の国防費を増やしていることは明白で、大きな視点からいうと、愚かな自己満足を希求している周回遅れの帝国主義に見える。グローバル経済が当たり前のこの時代、一体だれが中国を侵略するというのだろうか?●フィリッピンにしろ米国にしろ、民主主義にもいろんなスタイルがある・・・という事を見せられた、最近の世界だね? 斜めに見れば面白い劇場が今開幕しつつある。少しくつろいでゆっくり観賞しようではないか。