命の選択を(ポルシェ962GTI)
F1は前半戦最後のハンガリーGP真っ最中であるが、舞台は低速ダスティでレコードライン以外は走れない、抜くとか抜かれるとかゆーレベル以前のハンガロリンク。よほどのことがない限り予選有利が支配的なサーキットだから、今も昔もまったく興味がない(F1が一番熱かった時代でもハンガリーは大嫌いだったが)実際には万に一つの奇跡が起きて、予選最前列のメルセデスが後退し、ベッテル・フェラーリが勝ったらしい。だったら観てもよかったかなとは思うものの、スタート順のまま全車粛々と走って、予選結果イコール本戦結果となる可能性のほうが相当高いから、ま、観なくて正解、か。現実的にF1をどうすりゃ面白くなるのかってことだが、ヘンテコなレギュレーションで窮屈なマシンを作るんじゃなくて、いまのまんまのマシンでいいから走行距離と時間を延ばせばいいんじゃね?って思うんだが。ついでに言えば燃料補給もなしでね。つまりは「誰が一番速いのか」レースから脱却して「誰が一番強いのか」あるいは「誰が一番クレバーか」選手権にすりゃあいいんじゃねえの?走行時間があと一時間いや30分でも長くなればトップドライバーとて集中力が途切れることもあろうし、マシンもあと残り数週ってところで唐突に音を上げることもあろうよ。トップ走行するも燃費がきつくなってスローダウンあるいは完全にストップてな可能性もあるし、玉砕覚悟で大逃げのギャンブルに出る下位チームもあるかもしれん。ほら、これだけでも面白い展開になりそうじゃん。でもって、ドライバーの技量が傍目にわかりやすいようにマシンもワンメイクにして。。。って、つまるところがグループC下での耐久レースじゃん(笑)スパーク1/43 日石トラストポルシェ962GTI "1989年インターナショナル鈴鹿1000km 5位"#100 ジョージ・フーシェ/スティーブン・アンドスカー グループCといえばまずコレといっても過言ではない、つかコレあってのグループCレースとも言えるポルシェ956/962C。なんだけれども、この1989年の国内耐久JSPCを走った962は「C」じゃない。スパークの品名は962Cだけども、そこはちゃんとしてほしかった(つっても当時のエントリー名は962Cだからあってるっちゃああってるんだが)。独立したリアウイングやリアタイヤを覆うスパッツからして、お前何者?的匂いがフンプンしてるわけだが、これがポルシェをして「ポルシェが唯一認めたポルシェじゃないポルシェ」であるリチャードロイドレーシング(RLR)製962GTI(シャシー#962-203RL)である。のちに唯一のルマン制覇国産車787Bも手掛けるナイジェル・ストラウド設計のGTIは独自のフロントサスペンションによるクイックな挙動で、1989年シーズンを安定した戦績で駆け抜け、0勝ながらもチャンピオン候補最右翼として最終戦スズカに臨むも、オイル配管漏れが原因のピットロスがひびいて5位入賞。結果的には1点差で、もっともチャンピオンの目が低かったアドバンポルシェに油揚げをさらわれるカタチ(ちょうど1986年のアデレードF1みたいなもんだ)この年の開幕富士で、コースアウトクラッシュしたマシンからドライバーを救出するためにマシンを停めたのが#100(と#38デンソートヨタの2台)で、ほぼテールエンドからのレース復帰も、怒涛の追い上げで結果はトップ#16レイトンポルシェの直後でフィニッシュ。もしこの時、レースを中断せずにいれば、1ポイントに泣くことなく文句なしのチャンピオンだったかもしれないが、失われるかもしれない生命と勝利の栄冠、選んだのは生命だった。しかし、盤石経営と思われた日石もトラストもこの25年で、元のカタチが元も子もなくなるとは思いもよらなかったわ。