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テーマ:本のある暮らし(3205)
カテゴリ:絵本
時々コメントを書いてくださるお客様の管理されているブログ(学校図書館のボランティア・グループのみなさんが交替で執筆)で、うちの子どもたちが気になった本を借りてきた。田島征三の『ガオ』。私も知ってはいたけど手に取ったことはなかったのでよい機会。
田島征三さんといえば、『しばてん』の泥を塗りたくったような迫力のある絵や、『ふきまんぶく』の土がそのままにおってくるような存在感によってよく知られているベテランの絵本作家。読み聞かせをするお母さんたちの間では『とべバッタ』(それもビッグブック)が人気。『じごくのそうべえ』の田島征彦さんとお名前が似てるのも道理、双子のご兄弟である。 しかるにこの絵本『ガオ』は絵画ではなく造型。お住まいの伊豆で集めに集めた木の実をボンドで画面に張り付けて構成、撮影したもの。見た目は違う感じでも、クライマックスでの爆発っぷりは相変わらずの田島節。 主人公は叫びたくてたまらない山犬、彼の体が木の実で形づくられているわけだ。赤や茶色、紫の木の実が画面からこぼれんばかりにふんだんに使われている。「ウー」「ガオ」といった彼の叫び声も。そして渾身の叫びと共に山犬の体から飛び出した「げんき」つまり高エネルギーは1羽の獰猛な朱鳥に姿を変える。ばらばらと崩れていった山犬の体は、6匹の蛇に変化する。その蛇に次々襲いかかる朱鳥。「げんき」と「からだ」の戦いの行方は? 考えただけでも手間が大変だろうなと思われるのだが(いやこの絵本を作るだけでも)、これをこのままアニメーションにすると、未就園児世代はさぞや熱狂することであろう。ゼロは一発でこの本が大のお気に入りになってしまった。 文庫に持っていって植物に詳しい人に聞いたらば、赤い実は南天メイン、青い実は紫式部かと思いきや、それは小さいものだけで、大きくてつやつやしているのはイシミカワという植物の実だそう。後で確認したら、確かに割と見かけるツル植物であった。石実皮という身も蓋もない表記もあるが、イシニカワだった可能性も。 少し離れて見たほうが映える画面なので、教室での読みに向いている。 そう言えば30年ほど前、田島さんが日の出村でやぎのしずか等と暮していた頃、「うちの娘(ふきちゃんと思われる)は沢蟹を見てもカワイイ!ではなくオイシソウ!というんですよ」と話されていたそうだが、この話を仕入れてきた母もそれを聞いた私ら4人娘も「そりゃあ沢蟹はおいしいもんねえ」と顔を見合わせうなずきあったことだった。まあ可愛いっちゃ可愛いですがね、沢蟹。 ↓よろしかったら押してください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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