本のタイトル・作者
目覚めの森の美女 森と水の14の物語 [ ディアドラ・サリヴァン ]
"TANGLEWEED AND BRINE"
by Deirdre Sullivan (2018)
本の目次・あらすじ
あなたがこれからふみこむのは、新しくなった昔話のなか
森の物語
靴をはいた娘(シンデレラ)
きこりの花嫁(赤ずきん)
生まれておいで、愛されるために(ラプンツェル)
あなたが苦しむことはない(ヘンゼルとグレーテル)
名なしの魔物は友だちと名乗った(ルンペルシュティルツヒェン)
フェアという名の娘(フェアとブラウンとトレンブリング)
白灰姫(白雪姫))
水の物語
食いつくすか食いつくされるか(人間姫)
うまくふるまうこと(カエルの王子さま)
やさしい重み(青髭)
川床(ロバの皮)
小さな贈り物(ガチョウ番の女)
美女と盤(美女と野獣)
そして物語は終わる。こんなふうに…
目覚めの森の美女(眠れる森の美女)
引用
あなたは思う。どの命も可能性に満ちている。他に行ける場所はいろいろある、と。
感想
2021年読書:198冊目
おすすめ度:★★★★
アイルランドのYA小説。
およそYAらしくはないけれど。
「本当は恐ろしいグリム童話」的な話を想像していたら、意表を突かれた。
うつくしい寓話。
詠唱された詩と、語り継がれた昔話の間のような、新しい物語たち。
薄暗い場所で瞳を輝かせる女。
苔むした石塔に染みついた魔法のにおい。
打ちすえられて顔をあげる。
おとなしく美しい姫が、男のものになる。
勝利のトロフィーとしての象徴。
ステレオタイプの昔語りに唾を吐きかける。
物語の型への反逆。
新しい女たち。
おそろしく私好みの文体だったので、ときめいた。
比喩と暗喩。婉曲的で形而上学的。
やっぱり私、詩的な文体が好きなんだなあ。
万人への受けは悪いだろうけれど。
著者はディアドラ・サリヴァン。
アイルランド西部のゴールウェイ生まれ。
特別支援教育の教師をしながら、作家活動を行う。
この『目覚めの森の美女 森と水の14の物語』(原題"Tangleweed and Brine"――からんだ草と塩水――は、"Once Upon a Time"の音と重ねているそう)は、アイルランド最高の児童文学賞「CBI最優秀児童図書賞」ほか、アイルランド主要なYA賞を3つ受賞。
ほかの作品も読みたくなったけど、まだ日本では出ていないみたい。
こういう時、英語が一定のレベルに到達していたら原著が読めるのにな!と思う。
電子書籍がリアルタイムにクリック一つで手に入るようになった今なら、英語が読めればおよそ世界中の本を読めるようになった。(日本語には翻訳されていなくても、英語には翻訳されていることも多い)
これから日本の人口が減少し、若い世代が減っていく中で、翻訳作品の市場が縮小し、翻訳されない作品が増えていくのではないか?と思う。
というわけで、英語勉強しよ…。
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