本のタイトル・作者
三人の逞しい女 [ マリー・ンディアイ ]
"TROIS FEMMES PUISSANTES"
by Marie NDiaye(2019)
本の目次・あらすじ
弁護士のノラは、自分たちを捨てた父に呼びつけられる。
かつての栄光を感じさせない落ちぶれた父は、彼女に弁護を依頼する。
弟が―――父がただ1人連れて逃げたあのやさしい弟が、ひとを殺したのだ。
故郷での教師の職を夫のために捨てたファンタ。
夫を失い、義理の家族に追い出され、西を目指すことになったカディ・デンバ。
引用
あれはわたし、カディ・デンバなの、となおも思った。すでにその瞬間には頭が地面に激突していた。目を大きく見開いたまま、灰色の長い翼を持つ一羽の鳥が、ゆっくりフェンスの上空を飛ぶのを見ていた。あれはわたし、カディ・デンバなの、とこの啓示に眩暈を覚えながら思った。そしてわかっていたーーー自分はあの鳥であり、あの鳥はその事を知っている。
感想
2021年読書:211冊目
おすすめ度:★★
タイトルから、オムニバス形式か何かで、三人の中年女性のあれやこれや苦悩や希望を描いたのかと思ったら違った。
読みにくかった…。
フランス文学、読みにくいよ…。
明確な場所は出て来ないのだけど、訳者解説で第1章はセネガルが舞台のよう。
フランスにとっての旧植民地の位置づけが理解できないから、ここらへんの意味合いも理解できない。
特に第二章は男が主人公で、こいつがほんまにしょうもなさすぎるクズ男で、読んでいて腹が立ってくるし、途中でやめようかと思ったよ…。
これはもう、合う・合わないの相性の問題なんだろうな。
本作は、フランスでもっとも名誉ある文学賞で、毎年11月、アカデミー・ゴンクールによって「その年のもっとも創造的な作品」に授与される「ゴンクール賞」受賞作。
帯によると、NHKラジオ「こころをよむ 歓待する文学」で紹介されていたそうだ。
うーん。
まあ、好みは人それぞれってことで。
最後のカディ・デンバの話が一番好き。
彼女がかつての自分の姿を重ね、自分の名前を思い出す瞬間。
「妻」や「嫁」だった彼女が、カディ・デンバに戻るとき。
彼女は傷だらけになるけれど、傷はもう、彼女の内側に届かない。
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