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2023.04.17
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テーマ:読書(8219)

書名



光のとこにいてね [ 一穂 ミチ ]

引用


「瀬々はわたしじゃないし、わたしの所有物でもない。生まれた瞬間から道は違っていて、今は太い一本に見えてるけど、ちゃんと枝分かれしてるんだよ。だんだん距離が開いて、手もつなげなくなる日がくる。それまで、瀬々の行く先にある障害物や穴をできるだけ処理してあげたいけど、ひとつ残らずは無理だし、道を決めたり、代わりに開拓したりなんてありえない」


感想


2023年079冊目
★★★

2023年本屋大賞ノミネート作のため読んでみた。
(結果は3位でした)

光のとこにいてね。
タイトルがそのまま、愛する人への祈りと願いであり、物語の筋。

医者の父と、専業主婦の母。
お嬢様学校に通い、何不自由なく育った結珠(ゆず)。
けれど彼女は、自分を透明の詰め放題の袋みたいに感じている。
母が選んだものを詰め込まれた、母に愛されない私。
見た目だけは整っていて、最低限の条件は当たり前にクリアしていて
ーーーけれど家族は彼女に徹底して無関心だ。
ある日、小学生の結珠は母に連れられ、古びた団地を訪れる。
母を待つ間、偶然出会った女の子・果遠(かのん)。
過度の自然主義の母に育てられ、周りから浮いた孤独な少女。
ふたりは週に一度会うのだが、やがて別れが訪れてーーー。

この物語は、「小学生」「高校生」「おとなになってから」の3部構成。
偶然の赤い糸に導かれ、出会いと別れを繰り返すふたり。
あなたは、わたしの運命のひと。
私は「三浦しをん『ののはな通信』」を思い出した。

こういう、「一度あっただけ」でもう心臓を鷲掴みにされたような、魂に深く刻み込まれて永遠に忘れないような、そういう関係性が大好きで、特にBLで私はこのシチュエーションが大好物。自分が二次創作するときも書きがち。
そういえば百合では読んだことないな、と今回この本を読んで今更思った。

ストーリーラインは非常に漫画的。
特に高校生になる時に、果遠が追いかけてくるところとか、「思い込み激しくて怖いわ!」ってなるキャラ好きなんですけど、ラノベかコミックにはあるけど、小説ではなかなか現実味がなくて見たことがない展開。
いやでも大好きなんですよね、受のことしか目に入ってないめちゃくちゃ視野狭い攻。
子どもの頃に出会った薄汚いあの子が、キラキラ王子様に変身するのもありがちだけど好きなやつ。

大人パートは、なんというか。
お互いに男性のパートナー(夫)がいて、そのうえでやっぱり好きっていう関係。
夫たちは、最後に「愛する妻のために、自分の手を放す」ことをどちらも選ぶ。
こいつらめっちゃええ人やけど、都合ええ存在やなあとも思った。
子どももなあ…。おらんよな、こんなん。BLにおける女の存在とおなじだ…。

そしてそれにも関わらず果遠が薬盛って逃げるから「はあぁ?!」ってなって。
永遠にこのふたりは追いかけっこし続ける気なんかい、と突っ込んでしまった。
でも結珠は果遠が思っているよりも強くて、がんがん追いかけてくる。
えへ、私こういう「キレちゃった後は吹っ切れて攻より強くなる受」も好きです。

電車と並走する車。
朝焼けにキラキラと光る車体。
光のとこにいてね。
あなただけは、そこにいて。
幼い頃の願い。
幸福のちいさな日だまりに留めておきたかった彼女。
けれど彼女は飛び出してくる。追いかけてくる。
そうやって私を守ったつもりにならないで。

ラストシーンがここで終わってよかったです。
『ののはな通信』だと、二人は交わらずに終わる。
だからこの話もそうだったら嫌だな、と思ってた。

きっとこの後、通過待ちとかでどこかで果遠の乗った電車が駅で停まって。
そこに結珠が乗り込んできて、平手打ちして手引っ張って電車から下ろして。
無理やり車の助手席に詰め込んで、走り出すんじゃないかな。
チャイルドロックしてあって、内側からドア開かないやつ。笑

どこへ行くの?と果遠は窓の外を見ながら尋ねる。
内心は嬉しくて堪らないのに、ぶすっとした口調で。
その様子をミラーでちらと確認して、結珠は言うだろう。

どこへ行きたいの?
私はどこだっていい。
あなたがいるところが、光のところだから。


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最終更新日  2023.04.17 05:24:21
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