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2010年08月14日
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テーマ:†黒執事†(564)
カテゴリ:「黒執事」小説
BLの苦手な方は読まないで下さい。

 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。

 何卒お許し下さいませ。m(_ _)m


   手書きハート  手書きハート  手書きハート  手書きハート  手書きハート  手書きハート



 貧救院はロンドン郊外にひっそりと建っていた。白い石造りの

 古びた建物で老朽化が進んでいた。畑もある広大な敷地は

 すべて高い塀で取り囲まれていて、出入り口は正門一つだけ

 だった。まるで刑務所を想わせるような貧救院にシエルと

 セバスチャンは閉口した。

 馬車を降りると、二人の門番がニヤニヤとシエルを品定めする

 ように見ていた。やがて、そのうちの一人が近づいて来て、

 「シエル・ファントムハイヴ伯爵様ですか?ご案内します。」

 と言って、ペコペコしながら、貧救院の応接間に案内した。

 応接間にはジョゼフがいた。

 「ようこそ。おいでくださいました。コンスタブル卿から

 伺っております。貧救院を見学なさりたいとか・・・」

 「はい。坊ちゃんは慈善事業に興味をお持ちでして、貧救院

 を設立いたしたく考えておりまして、参考までに是非とも

 見学させていただきたいとコンスタブル卿にお願いした次第

 でございます。」

 「コンスタブル卿は我が主ロセッティ伯爵の縁戚に当たります

 から、その方のご紹介とあれば、むげにもできません。どうぞ、

 ごゆっくり見学なさっていってくださいませ。早速、施設を

 ご案内いたします。どうぞ、こちらへ。」

 ジョゼフは軽く会釈をして、シエルを食堂へ案内した。

 食堂には細長いテーブルが2つ並んでいて、子供たちが

 木の椅子に座っていた。ちょうど食事の時間だったのだ。

 「貧救院には6歳~16歳までの子供が50人ほどいます。

 昔は女の子もいましたが、今はすべて男の子です。

 亡くなった旦那様の趣味で15年前からそうなりました。」

 子供たちは皆、死んだような目をしていた。生気がなく、

 一言も口をきかずに黙々と豆のスープをすすっていた。

 「食事は豆だけなのか?」

 シエルがジョゼフに聞いた。

 「はい。昼食は豆のスープだけです。朝食はパン屋から

 二日前のパンを安く買って来たものを食べさせています。

 夕食は庭の畑で採れた野菜とじゃがいもをスープにしたもの

 などを食べさせています。子供たちの好きなマッシュポテト

 も食べさせていますし、貧救院のわりには比較的恵まれた

 食生活です。」

 「刑務所並みの食生活で恵まれていると言えるのか?」

 「貧救院が刑務所よりも暮らしやすかったら、誰も働きません

 から。浮浪者を捕まえて収容している施設は1日2食でパンは

 食べさせないのですよ。それに、服もうちの貧救院は清潔な

 白い寝間着を制服変わりに使用していますので、毎週洗濯

 していますが、何ヶ月も同じ服を着せたまま放置している

 ような不衛生な所も多いのですよ。」

 確かに子供たちは皆、清潔そうだった。だが、全員同じ

 真っ白な寝間着を着て、首に番号と名前の札をつけている

 姿は一種異様な気がした。しかも、子供たちは皆、凍りついた

 顔のように表情が無かった。刑務所よりも恐ろしい貧救院で

 何がそうさせているのか考えただけでシエルはゾッとした。


                           (続く)


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最終更新日  2024年02月27日 23時17分05秒
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