|
テーマ:二次創作小説(947)
カテゴリ:「秘密」詩・小説
BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 薪を仮眠室に寝かしつけて、青木は第九の皆が帰った後も 一人でMRI捜査を続けた。誤認逮捕と薪はなげいたが、 3人目の少年に関しては薪の推理した通りの犯行だった。 1人目と2人目に関しては犯人の顔が一切分からないまま 殺されている上に、少年を連れ去る際に、後ろから鈍器で 少年の頭を殴った犯人の背格好が佐伯と似ていたのだから、 間違えても仕方がない。おまけに佐伯がアメリカから帰国して 鈴木の脳を見た直後に事件は起きている。誰もが佐伯の犯行 による連続殺人事件と思って疑わないだろう。青木はこれは 模倣犯だと思った。鈴木の脳を通して狂気に伝染した佐伯が 連続殺人事件の模倣犯に自らなったのだ。薪さんが悪いわけ じゃない。青木は何度も自分に言い聞かせた。 夜中、薪は仮眠室で目を覚ました。静まりかえった第九の 明かりが洩れている部屋のドアを開けると、MRIの画面に 薪の裸体が映し出されていた。頬をほんのりと高揚させ、 ベッドの上で足を広げる薪は可憐で、初々しく、今とは別人 のようだった。 「何を見ている。」 MRIの画面を見ている青木に薪は問いかけた。すると、 青木は振り返って、こう言った。 「あっ、薪さん、もう起きたんですか?全然気付かなかった。 今、鈴木さんの脳を見ている佐伯をMRI捜査していました。」 「それは分かっている。僕は何故こんなシーンを見ているんだ と聞いているんだ。」 「それは・・・」 青木が説明しようとした瞬間、画面を見ていた薪の顔色が 変わった。 「これは、一体・・・」 薪が息を呑んで凝視したものは、四肢が切断され、腸が 引きずり出された薪の姿だった。 「フラッシュバックです。鈴木さんは貝沼の脳を見てから、 ずっとフラッシュバックに悩まされていました。」 青木の説明が終わった時にはもう画面は変わっていた。 佐伯が早送りで飛ばしたのかもう別の場面になっていた。 「愛してる。愛してるよ。鈴木。」 天使のように微笑む薪の顔が画面いっぱいに映っていた。 その愛を紡ぐ行為が悲しくて、画面の中の薪が幸せであれば あるほど、何故だか急に悲しくなった。無意識のうちに薪は 一滴の涙を流していた。 「薪さん。」 青木が薪にハンカチを差し出すと、薪は自分が泣いている 事に初めて気付いたようだった。 「画面を見てください。画面の所々が白くぼんやりと曇って いるでしょう。佐伯はこの映像を見て、泣いていたのです。 この悲しい感情は佐伯の涙です。あなたが今、流した涙は 佐伯の涙なんです。面会に来る度に佐伯が見ていた薪さんの 幻覚は、『愛してる』という言葉は鈴木さんへの愛の告白の フラッシュバックだったんです。」 (続く)
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年01月26日 20時20分40秒
コメント(0) | コメントを書く
[「秘密」詩・小説] カテゴリの最新記事
|