図書館で借りた本を読む《教科書御用達小説の主人公はクズてヘタレばかり》
図書館で借りた本をなんとか読みました。教科書御用達小説の主人公はクズでヘタレばかりこのタイトルのキャッチーさですよ。笑娘にもウケていました。高校の国語の教員である著者が、高校の国語の教科書に頻出の作品について教室では教えられない程度に深堀りし解説し主人公のダメさを突きつけてくれます。笑順位は平成15〜27年の統計。『羅生門』芥川龍之介 …1位下人は職業でなく身分明治、大正時代の価値基準の変更自由を得ることで先の見えない不安を引き受ける『山月記』中島敦 …2位李徴と袁傪は偶然会ったのではなく李徴が仕組んだ妻子の様子も袁傪の行程も知っていた袁傪も李徴を見返したかった?『舞姫』森鴎外 …4位豊太郎はクビになり母が亡くなったからこそエリスと深い仲になった アイデンティティの喪失行動は状況により選択させられている『こゝろ』夏目漱石 …3位先生は叔父に結婚を押し付けられそうになった為お互いの純粋な愛情のみに基づく結婚を求める→「私」に妻を任せられそうだから死を選ぶ『檸檬』梶井基次郎 …5位当時は死に至る病だった肺結核を患っている→死を常に意識しているなくても困らないものが贅沢、檸檬、芸術、自分『富嶽百景』太宰治 …平成25年以降採用、5位軽蔑さえしていたベタな富士の景色を最終的には感謝するまでに成長した心の動き。ちゃんとしたものとちゃんとしていないもの。『頭ならびに腹』横光利一満員の特急列車が緊急停止し戸惑う乗客。戻って迂回するか車内に留まるかの選択。鉢巻姿の子僧だけが一番早く目的地に到着。文章は面白くわかりやすいのですが、いかんせん高校時代の授業を覚えておらず最後の2つに至っては読んだこともないのでなかなか時間がかかってしまいました。高校の国語の先生は、明るくて声の大きな字のきれいな女の先生でした。中学のときはいい声で字のきれいな男の先生。数学の試験官のときには一緒にテストを解いていたのを覚えています(^^)しかし授業はね…中国の歴代王朝を覚える歌は覚えていますが…興味深かったのが。欧州の『自然主義』が輸入されたときに誤解された『私小説』というジャンルが「あれほど売れたのに文学史にほとんど残っていない」という記述です。数の勝利、という考え方がついあって読者や売上が多い=素晴らしい、という認識になってしまいがちですが、それは名作とイコールではないと。そうですよね、握手券目当てであんなに売れた数々の曲も知らないものばかりですし。タイミングやら口コミの発信力にもよりますし。それを言うならyoutubeだって以下略。解説されているどの作品も、ただ字面を追って理解したつもりになっていたら何も得られない深堀りを要求される類のものです。伏線はあるものの、割と表面だけをさらって消費するタイプのラノベばかり読んでいると普段使わない脳の部分が疲労します(^_^;)結局1冊はまったく読めなかったので返してまた借ります。今度から私は3冊娘は7冊にします(T_T)2週間あるのだから週に2冊さっと読めばこんなことにならないのに(毎週思う)。✢ ✢ ✢