ホレス・シルヴァー 『6ピーシズ・オブ・シルヴァー(Six Pieces of Silver)』
心機一転の録音盤にして、その後の活躍の端緒 ホレス・シルヴァー(Horace Silver)とアート・ブレイキー(Art Blakey)のグループが合流したのは1955年のことだった。もともと、“アート・ブレイキーズ・メッセンジャーズ”というバンド名が存在してたが、頭に“ジャズ”を冠して“ジャズ・メッセンジャーズ”としたのは、シルヴァーの発案だったという。その後、『ホレス・シルヴァー&ジャズ・メッセンジャーズ』なんてアルバムもあった。ところが、ジャズ・メッセンジャーズは翌1956年5月には空中分解してしまい、結局は、元来の創始者であるアート・ブレイキーの下で形を変えたものになっていく。詳しい事情は知らないが、シルヴァーとブレイキーの二人の間には何か相容れないものがあったということなのだろうか(シルヴァーの自伝によればブレイキーが全員分のギャラを使い込んでいたりということもあったみたいだけれど)。 1952年からブルーノートでの吹き込みをしていたシルヴァーは、一瞬は浮気(?)をしてエピックに吹き込みを残したりもするが、結局は心機一転、自身のクインテットを形成して、ブルーノート・レーベルでの録音を重ねてゆくこととなる。その第1弾となったのが、1956年11月録音の本作『6ピーシズ・オブ・シルヴァー(Six Pieces of Silver)』であった。 収録された曲のうち、知名度という点では、5.「セニョール・ブルース」がもっともよく知られていて、確かにイチオシのナンバーである。手持ちの再発CD盤では、シングル・ヴァージョン(6.)にヴォーカル入りヴァージョン(10.)と、元のものを入れて合計3ヴァージョンも収められている。CD追加曲で3ヴァージョンも収録されると飽きが来そうなので、通して聴くには本来の5.だけを楽しむというのでいいと個人的には思う。 他に注目したい演奏をいくつか挙げておきたい。まずは、冒頭の1.「クール・アイズ」はホレス・シルヴァーらしさが溢れるナンバーで、ドナルド・バードのトランペット、ハンク・モブレーのテナーというメンバーのよさがよくわかる演奏。3.「カムフラージュ」も同じように彼らしい曲作りで、“ああ、ホレス・シルヴァーっていいよね”というほっとした感じになれる楽曲と演奏である。あと、CD追加曲も一つぐらい挙げておこうと思うのだけれど、9.「ティッピン」がいい。テナー奏者がモブレーではなくジュニア・クックに代わっているのだけれど、この人は味のあるサックスを吹き、筆者のお気に入りの演奏者の一人だったりする。この曲については、ジュニア・クックがいかにもホレス・シルヴァー節といった曲の中でなかなか生き生きと吹いているように思う。[収録曲]1. Cool Eyes2. Shirl3. Camouflage4. Enchantment5. Señor Blues6. *Señor Blues [single version]7. Virgo8. For Heaven/s Sake9. *Tippin’10. *Señor Blues [vocal version]*印の3曲はCD追加曲。Blue Note 1539[パーソネル、録音]Donald Byrd (tp)Hank Mobley (ts, 9.と10.を除く)Junior Cook (9.と10.のみ)Horace Silver (p)Doug Watkins (b, 9.と10.を除く)Gene Taylor (9.と10.のみ)Louis Hayes (ds)Bill Henderson (vo, 10.のみ)録音: 1956年11月10日(1.~8.)、1958年6月15日(9.、10.) 【中古】 シックス・ピーシズ・オブ・シルヴァー+3 /ホレス・シルヴァー 【中古】afb USED【送料無料】6・ピーシズ・オブ・シルヴァー+3 [Audio CD] ホレス・シルヴァー ↓LP盤↓ 輸入盤 HORACE SILVER / 6 PIECES OF SILVER [LP] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓