テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
ナチュラルなスウィングを楽しむ、白人バッパーによる快盤 『ライヴ・アット・カフェ・ボヘミア』(1955年)、『ジャズ・フォー・ザ・キャリッジ・トレード』(1956年)のさらに翌年、つまりは1957年に吹き込まれた、ジョージ・ウォーリントン(George Wallington)のリーダー作(ザ・ジョージ・ウォーリントン・クインテット)がこの『ジャズ・アット・ホッチキス(Jazz At Hotchkiss)』である。 ドナルド・バード(トランペット)にフィル・ウッズ(アルト・サックス)という二管は前年の『~キャリッジ・トレード』と同一。その意味では、ベースとドラムが入れ替わってはいる(本盤ではそれぞれノビー・トータとニック・スタビュラス)ものの、『~キャリッジ・トレード』からの延長線上にある作品とも言える。 21世紀の今時、白人・黒人といった区別が相応しくないのは確かだし、別に差別的な(もしくは人種主義的な)意味ではないことをお断りするものの、ドナルド・バードを除き全員が白人系ミュージシャンというのは、本盤のメンバーの一つの特徴と言えるだろう。けれども、イースト・コーストのジャズのエッセンスを、クールに(といっても、無論クール・ジャズという意味ではない)、かつバランスよく示しているというのは、ウォーリントンの個性と湖のメンバーの組み合わせのなせる業なのだろう。エモーショナルで緊張感があるのに、暑苦しくないというのは、ウォーリントンがビバップ時代からジャズ界に身を投じて活動を続けつつも、どこかに彼独自の感性が生き続け、しかもそれがリーダーとしてうまく発揮され続けたということを示している。 さて、本盤の演奏は、ビ・バップ色の強いテーマが印象的な、バド・パウエル作の1.「異教人の踊り」で幕を開ける。2.「ストレンジ・ミュージック」は一転してクラシカルな曲のピアノ・トリオでの演奏。このあたりは聴き手によって好みの分かれるところかもしれないが、ウォーリントンの知性がさらりと披露されるこのタイプの演奏は、個人的には好みだったりする。バラード曲の3.「ビフォー・ドーン」を挟んで、4.「オウ」はふたたびビ・バップ的なD・ガレスピーの曲だが、この演奏こそが本盤の色をよく表しているように感じる。原曲に忠実ないかにもな演奏というのではなく、アレンジも全体の構成についても、上で述べたような“エモーショナルながらも暑苦しくならない”演奏の典型と言えそう。最後はいかにもハードバップな感じの5.「スメイクト」で締めくくりとなるが、冒頭から絶好調な作曲者ドナルド・バードのトランペットが聴きどころ。 以前に別項でも書いたことだけれど、“マクリーン抜きのウォーリントンは面白くない”という声も確かにある。でも、筆者はサックス奏者がフィル・ウッズに替わった後の『~キャリッジ・トレード』も、そして本盤も、結構気に入っているのだ。緊張感や“ハード”バップな部分をクールに知性で包み込んだ演奏と、その結果としての、ナチュラルなスウィング具合。聴き手が吸い込まれて演奏の只中に置かれるというよりは、少し離れた場所からその包み込まれた演奏を鑑賞するという楽しみ方ができそうな雰囲気。好き嫌いはあるかもしれないが、筆者はこちらの方も案外好きだったりする。 [収録曲] 1. Dance of the Infidels 2. Strange Music 3. Before Dawn 4. Ow 5. ’S Make ’T [パーソネル、録音] George Wallington (p) Donald Byrd (tp) Knobby Totah (b) Phil Woods (as) Nick Stabulas (ds) 1957年11月14日録音。 【送料無料選択可!】【試聴できます!】ジャズ・アット・ホッチキス / ジョージ・ウォーリントン 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年06月21日 08時07分30秒
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