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書評日記  パペッティア通信

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Oct 24, 2005
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カテゴリ:経済


アイタタタタタタタタタ!!

これくらい、「思い当たることだらけ」で、激痛がともない半泣きにさせられてしまう作品も珍しい。本日は、近年、「二極分化」「階級社会化」「パラサイト・シングル」「ニート」「勝ち組、負け組」などのキーワードで騒がれる、日本社会の階層分化現象を一冊で総ざらいしてくれる作品をご紹介しましょう。新聞・雑誌を読む上で、たいへんお得な一冊になっています。


まず、ノッケから喧嘩を売ってくれます。
「あなたの下流度チェック」。これがイタイ。イタすぎる。

おまけに下流の三種の神器は、パソコン、携帯電話(pager)、プレイステーション。これに、ペットボトルにポテトチップ。あわせて「5P」と呼ぶんです。

どうでしょう? なんか自分のライフスタイルの全面的再構築が必要じゃないだろうか…??って気にさせてくれませんか??

本書を簡単に要約しておきましょう。

● 「201X年」、日本は15%の上流、45%の中流、40%の下流の社会になる

「いつかはクラウン」。こうした、中流社会を前提にして「トリックル・ダウン」を喚起することによって売っていたビジネス・モデルは、もはや通用しない。高所得者向け「レクサス」が売り出され、低所得者向け百円ショップが成功しているように、中流を確認するための消費は、確実に衰退に向かっているという。

● 拡大する女性間格差
● 多様化した家族形態下、多様化していない幸福観


「差別された性」として平等だった時代は過ぎ去り、「個人」として過酷な競争に投げ出されている女性。「高所得の夫と専業主婦」の組み合わせが崩れ、「高所得の夫婦同士」の組み合わせになっているらしい。そんな中で、上流になるには、大卒は不可欠化しつつあるという。パラサイト女性は、年をとればとるほど、「下流化」していく。団塊ジュニア世代は、とくに女性において、ここ10年で「勝負がついた」らしい。(←怖いでしょ)

● どんどん下流化する団塊ジュニア(1971-74)以降と、安定した中流意識をもつ団塊・新人類世代
● 晩婚化は、階層化によって恋愛結婚できなくなったためではないか?


「どんどん良くなる」ことを体感していた40歳以上の世代と比べて、団塊ジュニア以降の世代は、未来に希望がもてない。いや、希望をもてる・もてないすら、「階層」によって規定される、そんな社会が到来しているという。しかも、その元凶でもある「成果主義」と「年功序列賃金・終身雇用の否定」は、下流であればあるほど、そして男性より女性の方が、支持が高い。男性は、年収500万円以上ないと結婚できない。フリーターはいうにおよばず、派遣社員は、結婚・出産に不利な就労形態であって、総合職女性に偏った少子化対策は再考の必要があるという。

● 「自分らしさ」をもとめるのは下流
● 階層は、コミュニケーション・スキルなど、性格で決まる


「自分らしさ派」は、生活満足度・階層意識ともに低い。とくにその中でも内向的で一人でいることを好むものは、コミュニケーション・スキルも低く、引きこもりなりやすい。結果として、就職や恋愛もできずに、低所得・下流に甘んじる傾向になるらしい。こうした下流の男女は、音楽などのサブカルチャー趣味に自分を見出すという。また低所得層の若者ほど、「自分には人より優れたところがある」と思っている。従来のジェンダー意識は、今も根強く残っていて、上流男性にはリーダーシップがあって社交的なタイプが多い。女性も、上流は「女性らしさ+リーダーシップ」、下流は「自分らしさ」と、性格にもくっきりした違いがあって、上流には才色兼備タイプ多いという。


普段、ちまたで言われていることの「総ざらい」も、ここまでくると我々にとってたいへんイタいものになっていることが分かるでしょう。とくに、階層別に趣味・嗜好<格差>があからさまになっているのが圧巻です。なにより、男女の給料格差がある方が、結婚しやすいし、子どもをもてて、生活満足度も高まる傾向にあるというのは、政治的正しさが幸福と直結するわけではないことの再確認になっていて面白かった。また、大都市郊外での人口移動の急減によってブロック化・農村化がすすんでいて、インターネットによるグローバル・ビレッジどころか、「バカの壁」ならぬ「下流の壁」の出現に警鐘を鳴らしているのも、身につまされる思いがするのではないか。団塊ジュニア以降、上流階層は子どもに「上品な国際的に通用する人間」をもとめ、下流階層は「手に職をもった自分らしい生き方のできる人間」をもとめるなど、意識の差が見られるのにはあらためて驚かされます。
むろん、統計的な再検討は必要でしょうが。

そう。本人も自覚している通り、こうした知見をえるためには、サンプル数が少なすぎるのではないか。2000名強では、世代・階層間の「嗜好調査」になってくると、あまり参考にはならないだろう。もっとも、これ以上の精度をもとめるのは、それこそ行政機関・公的シンクタンクでもなければ無理にちがいない。本書最大のウリであるだけに、とても残念。また第2に、「中流社会」「新人類世代」がボヤけていて見えてこない。叙述は、上流と下流、また「団塊世代」と、その子息たち「団塊世代ジュニア」「真性団塊世代ジュニア」の対比ですすめられるためか、そのハザマが良く分らない。それで、こんなイタイ思いをさせられるんだから、腹が立つやら悔しいやら。「機会平等」でも「結果平等」でもない、「機会悪平等の必要性」の提唱はとても新鮮だが、それくらいでは腹の虫はおさまらない。

とりあえず、下流と思われたくなければ、フジテレビは見ない、自民党を支持しない、渋谷に行かない、早寝・早起き・朝ごはん、財テクをするなどをして本書の分析に一矢をむくいるというのが、本書の使い道として、一番適切であるようにおもわれます。

万国の下流階層よ、団結せよ!

評価 ★★★☆
価格: ¥819 (税込)

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Last updated  Dec 8, 2005 09:33:44 PM
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