南風に乗る : 柳 広司(戦後沖縄のリアルを伝える小説)
〇南風【まぜ】南からの風、または南西風のこと、「真風」とも。太平洋沿岸部の黒潮に沿った地域で広く用いられる。マは良、「良い風」の意。・戦後の沖縄の歴史ドキュメンタリーのような小説、沖縄出身の「ビンボウ詩人」こと山之口獏の視点、「米軍が最も恐れた男」という映画になった沖縄民主主義の活動家瀬永亀次郎の視点、そして沖縄資料センターを立ち上げた中野好夫とそこでアルバイトすることになったミチコの3つの視点から、戦後から沖縄返還前後の、沖縄の人たち、日本国の政治家たち、アメリカの軍や政治家たちのやってきたことを語っている。南風に乗る [ 柳 広司 ]価格:1,980円(税込、送料無料) (2023/5/15時点)楽天で購入2023/5/13読了・どこまでが史実でどこからがフィクションなのか分からないけど、おそらくほとんどが史実に基づいていてミチコと彼女に絡むところだけがフィクションなのかなと思う。・山之口獏という詩人は、実は自分が若かったとろにファンだった高田渡というフォークシンガーが曲をつけて歌っていたので名前だけは知っていた。この小説で彼についての認識がまた変わってしまった。ただの飄々としたビンボウ詩人ではなくて沖縄への愛が深いがゆえに平和を語る真面目な詩人だったのですね。〇日の丸のもとへの復帰ではなく、平和憲法のもとへの反戦復帰・沖縄返還はまだ小学生の頃、いいことだと単純に思っていた。40年以上前になるけど大学生の頃沖縄出身の学生に沖縄は米軍に反発的な人ばかりではないと聞いたこともあるが、沖縄で起こる米軍絡みの事件を考えればやっぱり沖縄の基地の存在や治外法権的なありかたは異常!・何でこんな異常な事態が戦後も沖縄返還後も続いてきているのか、マスコミは何かあれば一時的は騒ぐが根本的な安保や基地協定問題には触れないので情報が伝えられていないのではないかと考えざるを得ない。・瀬永亀次郎さん、名前だけは知っていたけど詳細はこの小説で初めて知りました。まあどこまでがフィクションなのかわからないけどです。映画も観ればよかったなと今更ながらに思っている。