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本の森で呑んだくれ、活字の海で酔っ払い

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2020.05.31
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テーマ:お勧めの本(7217)
カテゴリ:社会派小説
​​​・新型コロナウイルス感染(COVID-19)パンデミックが宣言され、日本でも緊急事態宣言が発令される中、ウイルス感染小説として読んできたシリーズ4作目。
・新型インフルエンザも疑われる致死性の高い感染症が兵庫県の山奥にある閉鎖された集落で発生した

2020.5.31読了


・青沼集落は道路を封鎖されて地理的に、電話もインターネットも通じなくなって情報的にも孤立させられてしまう。いったい誰が?

〇一番の問題は、何が起きているのか国民、あるいは世界に対して公表していないことだと思う。新型インフルではなく、鳥インフルエンザの人への感染であっても、国際機関への報告は義務だった。
〇「人から人へと簡単にうつったら、それは新型インフルエンザだ」
・ウイルスH5N1が鳥からたまたまヒトに感染した段階ではまだただの鳥インフルエンザだが、ヒトからヒトに感染する変異を起こして初めて新型インフルエンザ=パンデミックを起こす病原体になり得るってことがまず基本的知識として提示される。

​〇「足を延ばして奥まで入ったら、民芸品の材料がようけ手に入ってなあ。一昨日は久しぶりに作業をしよったんや。夕方には西さんのところにも歩いて行けた」​
・鳥インフルエンザに感染して死んだ鴨から手に入れた羽で作った民芸品にはウイルスがたくさん付着していた。それが感染源であったという話。さすが医療小説を得意とする著者なので全体としてはすっきりと科学的に理屈が通っている。

​〇人権問題は残るが、松下は住民のためにも封鎖したほうがいいと力説した​
・結局、恐れていた新型インフルエンザではなかったという結末だが、放置していたら新型インフルエンザになったのかどうかは分からない。人権を無視して村落を封鎖して最後は村人を焼き殺して全滅させようとした感染症の国際的権威松下の行為が正当化されるとは思えない。

・地元に住む看護師の静香と3人の医者(紺野 新島 松下)がそれぞれの立場から、この感染症と戦うストーリー。そして集落内の人間関係も絡んで、ちょっとあり得んだろうという設定やストーリーもありながら全体としてはまとまっていて面白かった。 

〇紺野は笑っていた。まるで愉快な話でもしているように。紺野の運転する車は柵を派手にはね飛ばした。
〇「そのあたりは彼女も気にしていたようだ。車の中には、自分の遺体を取り扱う際には、感染防御をしっかりしろって張り紙を出していたらしい」
〇「それは紺野からお前への伝言でもある。落ち着いたら感染症専門の看護師への道を考えてほしいと彼女は書き残していた。一度地獄を見た人間は、立ち直ったら次のステージに否応なく進む。もとの自分人は戻れない
・自分の中では。特に紺野という破天荒な感染症専門女医が良かった。死んでしまったからこそのストーリーではあるが、何も犬死しなくてももっとかっこよく生き残る別なストーリーも書けたのではないかと思ってしまう。

・仙川環さん、3冊目。いずれも図書館本。読みやすいし構成もしっかりしている社会派小説、特に医療関係の小説として面白いと思う。読んで失敗はないが、何となくもう一つのめり込むまでいかないと言うのが正直な感想かなとも思う。
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Last updated  2020.06.06 15:32:55
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