ライチョウ、翔んだ。 | 近藤 幸夫
・木曽駒ヶ岳に登ってライチョウに会いたいと思って計画するも挫折ばかリの今日この頃、今日もせっかくの平日休みだったのにいろいろあって挫折、その代わりにライチョウの本を読んだのだった。・著者はワシと同い年1959年生まれの山岳ジャーナリスト近藤幸夫さん、信州大学農学部出身の元朝日新聞記者で、移動の内示をけってライチョウの取材を続けるために退社してしまった人。なんだか羨ましい人生だと思ってしまいます。・とにかく信州大学教育学部の中村浩志教授→名誉教授のライチョウに対する愛情と復活に対する執念がスゴイです。今でこそ「パワハラ」とか「アカハラ」とか言われそうですけどね。でも中村先生がいたからこそできた木曽駒ヶ岳でのライチョウ復活だったのだと思います。ワタシとライチョウとの出会いの記憶)・思い起こせばライチョウと初めて出会ったのは30年くらい前の12月、雪山登山の御嶽で、白いライチョウだった。その頃は野鳥には全く興味なく「おったな」という感じ。その後で覚えているのは10年くらい前?の北アルプス水晶小屋近くの縦走路と南アルプス南部上河内岳付近だったけ?でいずれもけっこうな深部で親子連れだったと記憶している。今でこそ鳥オタクだけど当時はあまり関心がなかったので忘れているかも?・で鳥オタクとなった昨今、直近では、今年の5月に木曾駒ヶ岳で出会ったのだった。ライチョウ、翔んだ。 [ 近藤 幸夫 ]価格:2,200円(税込、送料無料) (2024/12/15時点)楽天で購入2024/12/6読了〇日本のライチョウは、最終氷河期に日本列島と陸続きだったユーラシア大陸から入ってきた。その後、温暖化によって北アルプスと南アルプスの高山帯に生息地と遺伝的な継投が分かれたことが判明している。・ライチョウに関する本は何冊か読んでいたので、木曽駒ヶ岳にライチョウを復活させるプロジェクトが成功していることは知っていたけど、正直軽く考えていてこんなに大変な事業だとは全く知らなかった。しかも木曽駒ヶ岳で半世紀ぶりに発見されたライチョウが乗鞍からやってきたらしいということ自体も凄すぎるけど、その「飛来メス」が実は絶滅した木曾駒ヶ岳のライチョウと同じ遺伝子を持っていた(はく製の遺伝子から確認した)とは知らなかった。外部からの移植ではなく正統派の血を受け継いだライチョウの復活だと知るとどうしても応援に力が入ってしまうな。〇つがいを形成するのは繁殖期のみだが、繁殖期が終わって次の年になっても必ず同じペアで繁殖するのだ・それまでは縄張りを見張っていたオスは卵がかえると子育てはメスに任せて巣を離れて放蕩生活をする?らしいが、また繁殖期になると同じメスのところに戻ってくるらしい。ライチョウの一夫一婦制は凄いなと感心する。それに、人間から見ると足環の色でしか識別できないけど彼らにはちゃんと去年までのペアが認識できるんですね。〇腸内細菌を獲得するために母鳥の盲腸糞をついばむ(口絵)・母親の腸内細菌を取り込まないと高山で食べる植物の毒素に対応できないということで、動物園で生まれ育った親から生まれたヒナは高山に適応できないという問題が・・・□ライチョウ年表(抜粋)-----------------------------------------------------------2018/7木曽駒ヶ岳で半世紀ぶりにライチョウが発見される(「飛来メス」と命名)2019/7ライチョウの「復活作戦」が始まり、中央アルプスで半世紀ぶりにライチョウのヒナが孵化した(その後しんでしまった)2020/8乗鞍岳から木曽駒ヶ岳にライチョウ3家族をヘリコプターで移送2021/7中央アルプスでライチョウの自然繁殖によるヒナが誕生2022/8那須どうぶつ王国で繁殖させたライチョウ3家族を中央アルプスにヘリ移送、初の野生復帰に成功2023/7中央アルプスでケージ保護を実施。飛来メスが六羽のヒナを育て上げ、那須どうぶつ王国生まれのメスも繁殖に成功*図書館本だったけど、改めて購入して手元に置いておきたい本だなと思う。今年は断捨離で何百冊も本を捨てたのだけどそれでも手元に置いていきたい気がする本です。