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本の森で呑んだくれ、活字の海で酔っ払い

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2020.06.13
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テーマ:お勧めの本(7217)
カテゴリ:社会派小説
​​・小杉さんは「残り火」が良かった印象からBOOKOFFで買って長く積読しておいたこの本で2本作目で、何の前情報もなく読みだした。上巻は第二次世界大戦直前から終戦まで庶民の目線で書かれていた。
・ミステリーでもないのにページをめくる手が止まらない社会派小説だと思ったが、やはりミステリー小説でもあったし、新吉と和子、伊吹と道子の大人の純愛小説だったと言ってもいいのかもしれない。

2020.6.13読了


・親から勘当されてまで志した噺家の道だったのに、その実直さゆえに戦争政策に迎合する落語界が受け入れられずに挫折して紆余曲折の末に実家に帰った新吉、貧民窟で生活する父親と弟を捨てて芸者になって自分を育ててくれた訳ありの母親に育てられた大学生の伊吹、その2人の視線から交互に語られ、次第に二人の人生が交錯して合流していく。新吉がかつて心を通じていたが見捨ててしまった娼婦の和子や、東京大空襲の死者を弔う囚人で道子の遺品である万年筆を手にした森田からの視点の章もあり、下巻への興味と期待とともに不安も感じてきたのだった。

・3月9日東京大空襲のシーンが圧巻でとってもリアル!(といっても自分もみたことがないんだが)実際に経験している以上の臨場感とリアルさを感じた。

・小杉さんの作風と自分の相性なのかもしれないが、登場人物それぞれの心理描写などもとてもよく分かって共感できるし、ストーリー自体も無理がなくて自然に受け入れられる感じだった。全体としてもやはりリアルだなと思う。

・ミステリーでもないのにページをめくる手が止まらず上巻は一気読みだった。とは言え、悪人だと思っていた田尾が実は人間的な人だったと分かってきたのに「田尾はなぜ、誰に殺されたのか?」そして「伊吹の兄はなぜ自死したのか?」という謎を残して下巻に続く。やはりミステリーなのだろうか?社会派小説だよね。


2020.6.14読了

​・下巻第4章「遺志」は一転して戦後、新たに登場した弁護士皆瀬幸三郎という人物の視点から始まる。戦後を生きる新吉の視点からと交互に語られるが、伊吹が登場しないことに違和感を持ちながら読み進める。ページをめくる手が止まらず上巻同様一気読みだった。

・第5章「運命の糸」は、さらに時代が変わって平成12年の話。連続放火魔を追う刑事川口の視点から始まり、その容疑者を弁護することになった弁護士康一郎からの視点と交互に語られていき、実は康一郎は皆瀬幸三郎のひ孫にあたることがわかる。

・謎が謎のまま残っているのは、当然わかるだろうというか想像しろよってことなのか?

・敗戦が近いと知っていて、終戦後に備えて自らの利益確保に走った奴らとが戦後にのさばって利益や社会的地位を高めていった。伊吹の兄は事実を知りながら戦争に協力する記事を書いていた自分を許せなくて自死した。

・かなり第2次世界大戦について国際情勢や日本国内の政治情勢などがリアルに描かれているように思う。東京大空襲や沖縄戦、広島や長崎の原爆は避けることもできたはずで、避けられなかった責任は誰も取ってないじゃないかと読めてしまう。著者がそこまで語りたかったのかどうかは分からないが、問題意識は持っているのだろうと想像される。

〇庶民をばかにするんじゃない」
・何でもないようなラストシーンに泣けた。

・ところで「灰の男」というタイトルの意味は何?「灰の男」ってのは伊吹のことだと考えていいのだろうか?兄や道子の死を引きずって燃え尽きるでもなく灰のようになっても生きていた男という意味なのかなあと思う。

・上巻では何気なく登場した万年筆、伊吹が道子とのきずなとして渡した万年筆が小道具として最終的にはとっても重要なアイテムとなったのだった。

・表紙を上下巻合わせてみれば、太陽を背景に手をつないだシルエットだ。背の高い人と小さい人、親子か兄弟か?誰なんだろう?酔っぱらっていて思い出せないのかもしれないが、こんな関係の二人っていたかなあ・・・・(まだまだだなと反省しております)

・また間をおいて読み返してみたい作品だった。





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Last updated  2020.06.17 20:35:23
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