カテゴリ:森田理論の基本的な考え方
帚木蓬生氏は、「自分の気持ちが、ある固定観念にとらわれたら「即」をつけて考えなおしましょう。ぐっと気持ちが楽になります。心が広々、晴れ晴れしてきて、新たな地平線が見えてきます」といわれています。
(生きる力 森田正馬の15の提言 帚木蓬生 109ページ) 「即」のつく言葉を探してみました。 努力即幸福、煩悩即解脱、煩悩即菩提、不安定即安定、不安心即安心、苦即楽、善即悪、雑念即夢想、矛盾即統一、耳鳴即無声、病気即無病、健康即不健康、富即貧、貧即富 森田先生は次のように説明されている。 強迫観念の療法は、その精神の葛藤・煩悶を否定したり回避するのではない。 そのまま苦悩煩悶を忍受しなければならぬ。 これを忍受しきったときに、その煩悶・苦悩が消滅する。 すなわち煩悩即菩提であり、雑念即夢想・不安心即安心であるのである。 禅やその他の仏教で「煩悩無尽誓願断」とか煩悩を断つとかいうけれども、私の療法では、決して断つのではない。煩悩のままであるのであります。 (森田全集 第5巻 388ページ) 森田先生は煩悩を断つのではない。煩悩を受け入れるのだと言われています。 「即」というのは、不安、恐怖、違和感、不快感が沸き起こったときに、はからいをやめてそれらと一体になる態度のことではないでしょうか。 ここでのキーワードは「なりきる」ということです。 「○○になりきれば○○になる」という言葉に置き換えれば分かりやすい。 「なりきる」というのは、たとえば同じスピードで走っている電車に乗っていると、両方の電車は静止しているように感じられます。 向こうの電車に乗っている人の動作が手にとるように分かります。 実際には高速で動いているのですが、そのスピードが体感できなくなります。 感情でもこれと同じことが起きます。 不安、恐怖に「なりきる」ことができると、不安や恐怖に追い回されるという感覚がなくなるのです。 この考え方を基にして、「努力即幸福」という言葉を考えてみました。 努力している段階は目的が達成されている状態ではありません。 一生懸命に努力しても、その努力が報われるとも限りません。 失敗する確率が高いものはいくらでもあります。 不安です。イライラしています。心はハラハラドキドキしています。 普通そんな状態にあるときは幸福であるとは言えません。 それなのにどうして幸福といえるのでしょうか。 それは目標達成に向かって一心不乱に努力しているときは、意識や注意が外向き・前向きになっています。 意識や注意が内向き・後ろ向きになっていないために、不安や恐怖などが入り込む余地もありません。 不安、恐怖、違和感、不快感に振り回されていない状態は幸福な状態ではないでしょうか。 目的を達成して次の目標を探しあぐねている人よりも、むしろ幸福な状態にあるといえます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.03.26 06:41:02
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