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2006年02月16日
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カテゴリ:日本映画
映画公開も終了に近づいたようなのでかなーり突っ込んで書きましょう。

この映画、宣伝では、深津絵里が前面に出てきます。主人公ですから当然なのですが、映画を見るまで浅丘ルリ子が出ている事を知りませんでした。しかし、いざ見始めるとかなり浅丘ルリ子演じるところの博士の義理のお姉さんが出てきます。この映画一見、深津絵里が重要なようで実は真のヒロインはこの義理の姉だったのですね。劇中ほとんど二人の関係がセリフで語られることが少ないために、かなーりわかりにくいのですが、このお話は実は博士と義理の姉の恋愛物語だったようです。たいした役でないようにみえてやたら登場してくるこのお義姉さん。しかも浅丘ルリ子という大御所の女優さんの起用ということは、かなり重要な役ということでしょう。というのも博士とお義姉さんはかつて不義の関係にあったのですから。多分博士のお兄さんが生きていた時から、関係があったのかもしれません。そして二人の間にできた子供。二人はひかれあいながらも結ばれることはゆるされない。

映画を見ながら、なぜこれだけの屋敷がありながら二人が別々に暮らしているのか、すごく、不思議だったのです。母屋で家政婦を雇って一緒に住んでいてもいいのではないのか。なぜここまでかたくなに別々に暮らし、日常ほとんど接点をもとうとしないのか。無理もありません。なさぬ仲の二人がとうのお兄さんの死後一緒に暮らすなどできようはずもありません。そして二人の間にできた子供は失われてしまいました。死産だったのか流産だったのかわかりませんが、その喪失の悲しみと痛みを博士は数式によって語っていたのでした。
ここでオイラーの公式がでてきます。 

 eiπ + 1 = 0

が正しいのですが、作品中この公式が 

eiπ + 1 = -1

とかかれています。

ここまでに描かれてきた博士の数字へのこだわりは、彼が不安だった時に数字の話をする事でえがかれています。しかし、不安をなんとかするためだけが彼の表現方法ではなく、この先の物語を語るためのしくみであったようです。

この数式の中で語られる-1は二人の間で失われてしまった子供を、そして子供を失ってしまった博士の悲しみを物語っています。
そして二人が能を見にでかけた途中で事故がおき、博士の記憶がそこでストップしてしまったということは、二人の愛もまた、そこでとまってしまったということでしょう。愛の時間が止まったまま、それぞれに暮らしていたふたり。

そこに現れた深津絵里演じる家政婦杏子さん。この杏子によって止まっていた二人の時間に変化が訪れるのです。
ラスト近くで博士は義姉にもう一度オイラーの公式を書いて渡します。
今度の公式は

eiπ + 1 = 0

でした。

-1が0に変わっているところがポイントです。
博士はこの公式一つだけで、自らの感情の全てを語っていたのでした。
それは、

「二人の間にうしなわれたものなどない。いまでも君を愛しているよ。」

と言うメッセージを、このたった一つの公式によって伝えていたのでした。
博士が愛していたのはオイラーの公式。そして決してかなうはずのない義姉への思いでした。そして義姉もまた、そのたった一つの公式によって博士が今でも自分を愛していることも、博士が自分を許してくれたことも理解しえたのでした。

そして、もう二人の間を閉ざすものがない事を、母屋と離れの博士の家との間のいままで閉じられたままだった木戸を「これからはいつも開けておきます」と杏子に告げる事で、語っているのでした。

二人の間でかわされるラブレターは、なんと短く、そしてなんと多くのものを、つたえているのでしょうか。

ラストで、二人はかつて見に行くはずだった能をもう一度見直していました。

止まったはずの博士の時間と博士の愛は杏子とルートによってもう一度動き始めたのでしょうか。
これから先二人が物理的に結ばれることがないとしても、博士の時間が80分のままだとしても、博士の中で確かに愛の時間は再び流れ始めたのです。

杏子さんルートありがとう。

ところで、記憶が持たないはずの博士が日を追うごとに杏子とルートになついていきます。
人と人をつなぐのは脳の中の記憶だけではない何かがあるのでしょうか。とても不思議でした。

とにかく原作読破しないと。やばい。


博士の愛した数式その1

原作の感想もありです。

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最終更新日  2006年02月16日 10時32分08秒
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