感情の病-怒り
昨日、暖かい好天の日の15日。大阪歴史博物館で毎月恒例の東洋医学教室。 今回は病気の内因と一つ、七情の病について講義しました。 七情とは、怒・喜・思・憂・悲・驚・恐の七種類の感情の過不足によって起こる病気についてでした。 東洋医学では感情の過不足と病気との関連を気の偏在としてとらえて治療します。 加えて、特定の感情の過不足と特定の臓腑の異常とも具体的に関連付けます。 感情は、心の在り様によって同じ状況でも人によって様々な反応の仕方があります。 星の数ほどある心の在り様を全て言い尽くすのは大変なのですが、根幹となるところだけ書きます。 たとえば、怒りの度合いが大きいと気は一気に上にあがりますので高血圧、脳卒中とかを起こしやすいし、めまい・耳鳴り・結膜炎などを生じさせることもあります。 実際、昇発するように起こった直後に脳血管障害を起こされた患者さん、いらっしゃいます。 怒ることを切れると表現することはまさに的を得てますね。 大きな怒りは気を爆発させるので、血の消費が進みます。血とは、車にたとえるならガソリンに相当します。 何度も怒ってばかりいると、相対的に気有余、血不足となってちょっとしたことでも燃え上がりやすくなり益々自分の身体を痛めることになります。血が不足してくるので肌、粘膜が乾燥したり過敏に反応するようになります。 またイライラは、小さな怒りです。本人が気がつかなくっても、気は上にあがって鬱滞し、肩が凝ったり呼吸が浅くなり、次第に疲れやすくなってきます。長期にわたると、やはり熱化して同じような症状がジワリジワリと出てきます。 逆に怒りを抑えすぎると、気が停滞して手足が冷えてきたり顔色が青っぽくなってきます。 怒りに限らないのですが、感情が抑えられると気が流れなくなってしまいます。実際外見とか触ってみても異常がないのに、本人の自覚では張った感じがしたり痛んだり不快な症状があちこちに移動したり、特に変わったものを食べていないのに便秘したり下痢したり・・・と症状は多岐にわたります。 そして気の流れが停滞すると様々な邪気が体内に生じやすくなります。 たとえれば、川の水が勢いよく流れていると川底はきれいですが、流れが悪くなったり水量が減ってくるとヘドロが堆積するようになります。このヘドロが邪気になります。 この邪気が水飲、湿痰、悪血などの深刻な邪を生じさせます。 「病は気から」とはよく言ったものです。 この七情の病、うつ病やアトピー、喘息、花粉症さらにはガンや心臓病など、あらゆる疾患と関わってくることは、現代医学の網にかからないだけで、東洋医学の立場からみると意外なほど多いものです。 当院では、日常のベットサイドで患者さんにお伝えするだけではなく、いおり東洋医学講座、いおり健康教室などでもお話しています。 次回のいおり健康教室は3月1日です。詳しくはこちら↓ http://www.iori-hermitage.jp/enlightenment/lecture_for_health/schedule.html 通院歴のある患者さんのご縁者さんでしたらどなたでも参加していただくことが出来ます。 健康って、自分で維持していくものなのですよ。 心にこだわりが無くすっきりと過ごしていればそうそう変な病気にはならないものです。 みなさん、ご自身を信頼してくださいね。 いつもながら、僕の体験も踏まえながらお話していきますので、興味のある方はぜひご参加ください。