病の視点
このところ、シリーズで「自分で治せますよ、花粉症」をかいてきましたが、3月18日付の朝日新聞の38面に「スギ花粉 カビでさよなら」という見出しの記事を見つけた。 花粉を作る「雄花」だけを枯らすカビの発見らしいのですが、人間の手で散布すると昆虫や植物などの生態系に影響があるので、安全性のデーターを5~6年積み重ねてから普及を計ると記されている。 生態系がほぼ無限の繋がりと組み合わせで出来上がっているので、安全性というのは『限られた範囲での安全性』ということに他ならないだろうことは、十分予測できます。 無花粉スギの植樹も進められているそうだが、仮にこの地球上からスギ花粉がなくなると花粉症は無くなるのでしょうか。 断じて「否」です。 イネの花粉や家庭の塵など、アレルゲンになるものが恐ろしい勢いで増えています。 かつてのように、外からやって来る、赤痢やコレラ、腸チフスなどのように強力な感染力と病毒を持っている細菌は、公衆衛生の普及によって先進国ではほとんど解決されています。 それに取って代わるかのように、アレルギー疾患が特に先進国において顕著に増加の一途。 もう疾病の原因を外に求める時代は終わりですよ。キリがないじゃないですか。 病気の原因は、遺伝子や気候、アレルゲンなどの外部の要素だと捉えれば、それらの要素が変わるまで苦しむことになります。同時に被害者意識も生じやすくなりますし、自分の中にあきらめと無力感が支配することになります。 そうなると、より一層疾病は勢いを増します。 自分に起きていることは、自分の責任として捉え解決方法を探り当てると、自ら持っている大きな力に気づくことになります。 この力こそが、人生全般における生きる力強さにも反映されます。 障害となる外部要因を取り除いて飼育された動・植物は生命力を失い、もはや自然の中で生きていくことが困難になることは、誰でもが周知の事柄です。 医療者側による悪者探しとその対策は、病気の背景となる患者の生活を顧みることなく消費を促します。その先に何が待っているのか・・・ここまで書けば、全てを記す必要はないと思います。