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テーマ:私の読書(15)
カテゴリ:本
2020年世界はこうなる 長谷川慶太郎 田原総一郎 2016年
被害者を騙る政治は、為政者が造り出した専制と収奪の隠れ蓑であると「ブラッドランド」を読んでわかった。ヒトラーとスターリンは、被害者を騙り、敵の影をつくりだし、「正義」のために自民族、自勢力以外の皆殺しを企て滅んだ。国益を騙る正義に国民は熱狂して喜々と邁進したものの、惨劇に加担してようやく自身の正体を知った時には、取り返しのつかない歴史を抱えることになっていたようだ。 「動くものはすべて殺せ」を読むと、ベトナムでスターリン主義や反共のためにアメリカは正義を推進したつもりであったのかもしれないが、実態は、軍内部の評価獲得のために非戦闘員の民間人を大量殺害して戦果と偽装し、軍も容認し、「正義」の実績として本国も叙勲、昇進評価し、国益の英雄として安住させたのが真実のようだ。「一流」新聞も対立政治家も将軍達もベトナムの民間人を米軍の長年に亘る大量虐殺から守らなかったことになる。 高度成長を遂げてGDP「一流」国となった国も、為政者が権力闘争の果てに専制の君となり、腐敗・汚職撲滅の「正義」のもとに専制の障害となる知識人、民族を拘束、排除、粛清していく様は、20世紀の大量虐殺を犯し始めた頃の政権と似ているようで、似たような事を犯さないか不安が募る。 「一流」新聞は、正義を語るようだが、スポンサーにおもね、売り上げ部数に筆をはしらせ、扇動・捏造記事を掲載するようでは、一流の騙りとなる。トクダネに逸り、事実を都合よく取捨選択して大見出しをつけていく新聞では真実はわからない。独善的、功名にはやる自説は許さない真実報道の規範のある新聞が一流のはずなのだが。 「一流」新聞で事実を知ることができない日本では、様々な事実を提供してくれる出版社はありがたいが、「一流」新聞と同じように正義を騙る出版物もまた多かろう。それでも、新聞のような大量流布による汚染が少なくて済むならまだ安全なメディアかもしれない。 この本には、新聞には掲載されていないことが多く書かれている。腑に落ちる話ばかり。著者は言う、「血の海になる、何千万人かも知れない。」と。果たして20世紀の世界史がまた繰り返されてしまうのか。 日本は、その前にそこから撤収しておけと著者は勧めている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 20, 2016 04:29:16 PM
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