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2013年10月02日
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旅にでないワインの話

「以前、大分県の直入町役場で働いていた人の話だけれどもね。

 直入町ではドイツのバードクロイツインゲンと友好都市となっていて毎年未来を担う中学生を派遣していた。ドイツからも市長さんはじめ毎年多くの方が見える。


 町民が百人ドイツに行ったのを記念して、国際シンポジウムを開催した。

ドイツの物産展を開催したらね、これが好評で、特にドイツワインが飛ぶように売れたんだ。

すると、『あのワインをうちの町でずっと飲むことはできないだろうか』と商工会のメンバーが言う。

ところがこのワインは、「旅に出ないワイン」と言われて、そこに旅をしないと飲めない。そのくらい貴重な、少量だけど非常にうまいワインだ。商工会長自らドイツに行ったが分けてもらえない。

そこで町長とその町役場の人と通訳でドイツに渡った。

それで苦しんだんだけどうまくいかない。

最後の日、向こうの商工会が招待してくれたので

『未来の子供達にあなた達が作ったヨーロッパでも有名なこのワインを飲ませてあげたい』と頼んだんだ。

 すると通訳のマチ子さんが黙りこんで横を向いて泣き出した。


『どうしたの、マチ子さん?』と聞いと


『私は長い間、日本の方々をドイツにお招きして通訳の仕事をさせていただいた。

ただ、これほど、今夜ほど私は自分が通訳をしていてよかった。

こんなに感動した夜はありません』というふうにマチ子さんが言う。


『ドイツの皆さんは遠く海を渡って何回も来たあの日本の友人たちに自分たちの秘蔵のワインを分けてあげようじゃないか。

そのために直入とクロツィンゲンの頭文字を取ったナークロという会社を新たにつくって、ワインを上陸させて、直入町の皆さんの期待に答えてあげようじゃないかと話しているですよ』


 マチ子さんはそういう会話を聞いて思わず瞼が熱くなったんだ。

 町役場のその人はね、宿に帰って、シャワーを浴びながら男泣きに泣いた。


 ドイツとの交流が始まってまだ四年にしかならない。

 こんな農村であんなことをやってあいつらはドイツかぶれだという陰口もある。

 それなのに、こうしてまだ数回しか会ったことのないドイツの友人が私たちの夢を実現してあげようという、そう思うと泣けて泣けて仕方がなかったという。

 そして喜んで帰りの飛行機に乗ったら、


 帰りの機内誌の中に、マザー・テレサの特集があった。


マザー・テレサが生涯愛した言葉、


「暗いと不平を言うよりも、自ら進んで明かりを灯しなさい」


という有名な言葉があるが、実は、マザーが愛したのは、そのすぐ後に続く言葉なんだ。


「誰かがやるだろうということは、

 誰もやらないということを知りなさい」


マザーが愛したその言葉が強烈にその人に降り注いできた。


前年に商工会のみんながドイツに渡っている。


ワインの交渉もやろうと思えばできていたかもしれない。


ただ、誰かがやるかもしれない。


地域づくりのほかのことに対してもそうだ。


これはいい話だが、誰かがやるだろう。


そうではなくて、

気がついたあなたがやらなければ、誰もやりませんよ。

そういうことを教えられた気がすると。






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最終更新日  2013年10月02日 18時55分42秒
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