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カテゴリ:イギリス史、ニューイングランド史
『高慢と偏見』の冒頭部はベネット家での対話とホームパーティーでの会話が畳重なるようにつないで人物描写によってそれぞれの性格を活写しようとする。 この導入部は夏目漱石が絶賛したという。 ジェーン オースティン は写実の泰斗なり。 平凡にして活躍せる文字を草して技(わざ)神に入るの点において、 優(ゆう) に 鬚眉(しゅび)の 大 家 を 凌 ぐ。 余 い ふ。 Austen を賞翫する能はざるものは遂に写実の妙味を解し能はざるものなりと。 Austen の描く所は単に平凡なる夫婦の無意義なる会話にあらず。 興味なき活社会の断片を眼前に髣髴せしむるを以て能事を畢(おわ)るものにあらず。 この一節のうちに夫婦の性格の躍然として飛動せるは文字を解するものの否定する能はざる所なるべし。 (中略) この一節によりて彼らの平生を想見するは容易なり。 即ちこの一節は夫婦の全生涯を一幅のうちに縮写し得たるの点において尤も意味深きものなり。 こうした性格の活写のなかにおいて、長女ジェーンは次のように描かれている。 4 ジェーンとエリザベスと二人きりの時、以前は用心しながらビングリー氏をほめていたジェーンが、あの人はとてもすてきだと、とうとう妹に白状した。 「あの方は、ほんとに青年らしい青年だわ」 "He is just what a young man ought to be," と彼女は言った。 「利口で快活で元気がよくって。わたし、あんなに立派な物腰って見たことないわーとてもらいらくで、しつけがよくて」 ” sensible, good-humoured , lively; and I never saw such happy manners! - so much ease, with such perfect good breeding! ” 「それに美男子だわ」とエリザベスが答えた。 「できれば、青年はああいう美男子でありたいものね。これでもうあの方の人物は満点だわ」 「わたし、二度目にあの方に申し込まれた時は、ほんとにうれしかったわ。そんなにまでおあいそされようとは思ってみなかったんですもの」 "I was very much flattered by his asking me to dance a second time. I did not except such a compliment." (略) 「あら!あなたは、大体が、だれかれの区別なく好きになりすぎんのよ。あなたは、人の欠点を見ないんだから。世間中の人が、あなたの眼には善良で愛想がいいんだわ。 Oh! you are a great deal too apt, you know, to like people in general. You never see a fault in anybody. All the world are good and agreeable in your eyes. わたし、あなたが人の悪口を言ったのを、一度だって聞いたことがないわ」 I never heard you speak ill of a human being in my life." このジェーンの性格の女性は、新渡戸稲造の夫人となったメリーが母に手紙で知した知人の中にも出て来る。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年11月22日 16時08分32秒
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