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2016年08月27日
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カテゴリ:広井勇&八田與一
九 札幌農学校生徒時代(明治一〇年―一四年)
1 東京より札幌へ(三二頁)
官費生応募 東京英語学校一級在学中、明治一〇年六月一四日、開拓使九等出仕堀誠太郎氏が英語学校の我が一級の教室を訪れて札幌農学校の官費生募集の演説をした。堀氏は植物分類学者理学博士中井猛之進氏の厳父で、クラーク先生が校長だった米国アマスト市の州立農学校に学び、帰朝して、クラーク先生の通訳をしていた。氏はその時、初めに北海道の開拓を説き、更に進んで北国の風物を興味深く面白く話され、終りに官費制度の事を詳細に語られた。学費の乏しかった士族の子弟が多かったので、官費であるという点が特に注意をひき、一二名も志願する結果となり、時の校長、服部一三氏を驚かす事となったのである。当時、私は前にのべた松浦竹四郎氏の著書や直話で蝦夷(えぞ)を知っており、遥かなるその土地をなつかしく思っていた時の事とて、堀氏の演説で、蝦夷植物の探求心はますます燃え、帰宅して直ちに母に許しを乞うた。私は前年にも志願する資格は有ったが、兄が二人共(長兄美勲は宮城県庁に、次兄文臣は神奈川県庁に勤めていた)不在のため許されなかった。しかしこの年には横浜にいた次兄が農商務省山林局へ転勤になって帰宅していたので、晴れて札幌遊学を許された。そしてその翌日、喜び勇んで登校したところ、やはり親の許しを受けて内村鑑三、太田〔新渡戸〕稲造の二君が、雀喜して登校してきた。この時からこの三人は生涯にわたる最も親密な友情関係を結んだのである。英語学校の一級、二級の生徒は無試験入学を許されていたので、体格検査を受け、これも無事通過して、私は明治一〇年七月二七日付で「開拓使付属札幌農学校官費生を申付」という辞令を受けた。当時の入学者は次の如くである。
東京英語学校より入学(一二名)足立元太郎、藤田九三郎、伊藤英太郎、伊藤鏗太郎、岩崎行親、毛受駒次郎、宮部金吾、永井於莵彦、太田稲造、佐久間信恭、高木玉太郎、内村鑑三、工部大学予科より入学(四名)広井勇、町村金弥、南鷹次郎、諏訪鹿三、長崎英語学校より入学(二名)村岡久米一、西村規矩 計一八名。この一八名は東京に家があるなしにかかわらず、皆、芝区新橋五丁目の植木屋という開拓使御用宿に集合を命じられ、約一か月間、同処の二階を占領し、元気極めてハツラツたるものがあった。この時、私と内村鑑三、太田稲造、岩崎行親の四人は六畳の間に陣取って四人組を組織し、立行社(身を立て道を行うの意)と名付けていた。藤田九三郎君の遺された日記によれば、八月一日に開拓使より、金一〇円と服等(上着、ズボン、帽子、シャツ、ズボン下、靴、靴下)を受け取り、2日には雨着、カラー、襟飾り、ズボン吊り等を受け取るとある。八月一〇日は立行社の仲間と共に芝日蔭町の玉松という写真館で新調の制服を着用して一同並びに各自の記念写真を撮った。私はちょうどその時、一七歳六か月であった。なお植木屋に滞在中、開拓使の特別の交渉により、開会前に第一回内国勧業博覧会の縦覧を許され、掛員引率の下に、2台の乗合馬車にて上野の会場へ行った。出品物がだいたい陳列済になった時であったため、ゆるゆる充分に縦覧ができて一同大いに満足した。たまたま一行の一人、足立元太郎君が、日蔭町の古本屋で、A.GRAY著Field,Forest and Garden Botany と CHAPMAN著の Flora of Southern States を買ってきた。この本は純粋な分類学書で科や属の検索表や種類の記載が記してあるが、足立氏は使途が判らず、つまらぬ本を買ったと後悔していたので札幌に来てからそれを譲り受けた。これより先、英語学校在学中、神田の聖堂にあった書籍館に通って植物書を漁っていた私は既にA.GRAY著Lessons in Botany や How Plants Grow を読んでいたので、グレーの本の面白さをよく知っていた。後年これらの本は、私の植物学研究初歩の時代にどれほど、役に立ったかわからない。





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最終更新日  2016年08月27日 12時21分55秒
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