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2018年03月20日
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新潮新書「由布院の小さな奇跡」の中に湯布院の中谷健太郎さんらがドイツの温泉町バーデン・バイラーを視察した時、ホテルの主人グラウテルさんから、あなた方は町をよくするため何をしているかと一人一人指差されて問い詰められ、真っ赤になって何も答えられず、それがきっかけで湯布院の街作りを決意する感動的な場面が載っている。グラウテルさんはこうも言った。

「街作りには三人以上仲間がいる。世界中の同じ志をもった仲間と手を握ることが大事だ」と。



「由布院の小さな奇跡」96-100ページより

南ドイツの、ドイツ、フランス、スイスと三つの国が重なるあたりの黒い森の麓にあるバーデン・ヴァイラーという小さな温泉地を、三人が訪れた時のことだ。

バーデン・ヴァイラーは人口約四千人と、由布院に似た小さな温泉地だった。小さなホテルのオーナーであったグラテヴォルさんの話に、三人は感動した。その感動が、いまの由布院をつくったと言っても過言ではない。中谷が熱い想いで綴っている。

「私たち三人が、ドイツのバーデン・ヴァイラーという町で受けたあの衝撃を、なんとか由布院の町の人たちにも伝えようと、わけのわからぬ、子供らしいあがきをはじめたのは事実だった。それは今でも続いている。

あの日、グラウヴォルさんは私たちに熱く語ってくれた。

『町にとって最も大切なものは、緑と、空間、そして静けさだ。

その大切なものを創り、育て、守るために、君たちはどれほどの努力をしているのか?君は?君は?君は?』

 グラテヴォルさんは、私たち三人を、ひとりずつ指さして詰問するように言った。私たち三人は顔が真っ赤になってしまった」

 このグラウヴォルさんの詰問が、三人を奮い立たせた。

 七年後、志出、中谷、溝口の三人は、湯布院の町長を先頭に、約二十人の仲間とともにドイツを再び訪れた。病床の身ながらも、グラテヴォルさんは待っていてくれた。三人が多くの人たちを連れて再びやってきたことに、グラテヴォルさんは大変喜んでくれた。

 その時のグラウヴォルさんの話を、中谷はこれまた感動的に書いている。

「君たちは約束を守った。君たちは長い道を歩き始めた。

世界中どこの町でも、何人かの人が、あるいは何十人、何百人かの、決して多くはない人たちが同じ道を歩いている。

ひとりでも多くの人が、よその町を見ることが大切だ。そして、その町をつくり、営んでいる『まじめな魂』に出会うことが必要だ」

 グラテヴォルさんとの出会いについては、溝口も機会がある度によく話をする。

「まちづくりは、ひとりでやっていては孤立する。

 最低でも、三人は必要だ。

 まちづくりは、大勢の仲間で進めることが大切だ

と、私たちはグラテヴォルさんから教わった」。


平成16年第702号 平成16年11月24日号発行
  家族ふれあい新聞

今回、「由布院の小さな奇跡」という拙著が新潮新書として発売された。それにともなって、私(木谷文弘)はいろいろな「感動」「感激」を味わい、多く方々へ深く「感謝」をするという出来事が起こっている。これは、そのうちのひとつの話だ。
本の発売の一ヶ月前、知人の新聞記者さんから電話があった。「あんたの本の宣伝ビラが、市内の本屋“晃星堂”に貼られているよ」私は驚いた。翌日、晃星堂へ行った。店の中へ入るとすぐわかった。
《由布院はどこへ行くのか!木谷文弘・著『由布院の小さな奇跡』11月中旬発売》
A4紙にマジックで走り書きされていた。私の名前が踊っていた。本の整理をしていたエプロン姿の店員さんへ、私はお礼を言った。「見ず知らぬの私の本のために……このようなことを……」大野さんという店員さんは整理する手を休めて答えてくれた。
「由布院はいま大きく揺れています。この本により、
みなさんが由布院のことを考えてくれたらな……私はそう思ったのです。題名を見ただけで、なにか普段の由布院のガイドブックとは違うのだと感じたのです。由布院の普通の人たちのことを描いてくれているのでしょう。由布院らしいとは何だ。そのようなことが理解できる新書なのでしょう」
私はただ感謝するだけだった。〈まだ発売されていないというのに……〉私は大野さんへ深く頭を下げた。
 また、新聞記者さんから電話があった。本の発売日だ。
「木谷さん、今、晃星堂にいるんだが、あんたの本が沢山あるんだよ。玄関を入った店先の新刊本コーナーと、奥の新書のコーナーと、そしてね、勘定をするカウンターにも重ねて置いてあるんだ。この光景は凄いぜ。そしてね、五分前に、あんたの本が一冊売れたんだよ」
新聞記者さんの声は嬉しそうだった。
「私が別の本を立ち読みしているとね、ひとりのお客さんがあんたの本を取り上げてパラパラと見ているんだ。私はね、心の中で念じたんだ。
『買え、買え、あなたはその本を買うのだ』と。するとね、フフフフ、お客はその本をカウンターへ持って行ったんだ。
その新聞記者さんは新聞社の中でも地位の高い方だ。
それに、髭を生やしている威厳のある人なのだ。
私は嬉しいやらありがたいやらで何も言えなかった。
翌日、私は晃星堂へ行った。なんと貼り紙が三枚になっていた。店内のあちらこちらに貼られていた。
カウンターの上にも本名を書いた旗のようなものが置かれていた。そして、それらがゆらゆらと揺れていた。
それは、私には「幸せの黄色いハンカチ」のように感じられた。そして、人は多くの人に応援されて生きていることをひしひしと感じて嬉しくなった。
    【拙著のご案内】
今夜の大分はやけに静かです。FMからはピアノ曲が流れています。秋が過ぎて冬が近づいているということです。そう、今年も残りあと一ヶ月あまりとなりました。
さて、私、この度、新潮社より新潮新書の一冊として
『由布院の小さな奇跡』という本を発行するようになりました。由布院の人たちの小さな出来事ばかりを追ってみました。小さな出来事ですが、それらのひとひとつには輝きがあるのです。
そしてそれらの「小さな奇跡」が集まって、
今の由布院があるのだと思います。
でも、いまの由布院取り巻く状況はきびしいものです。
由布院の若者は言いました。
「まちづくりは百年、二百年の単位です。
ぼちぼちやっていきます。
まちづくりとはそういうものです」
私は何も言えずに由布岳を眺めるだけでした。
みなさまのお近くの本屋の新書コーナーを見て下さい。
一冊ぐらいちょこんと置かれているかもしれません。
焼酎2杯我慢して戴いた気持ちでどうかご購入の程お願いします。そしてご感想を聞かせて戴ければありがたいと思います。





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最終更新日  2018年03月20日 02時20分25秒
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