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2021年12月16日
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柳沢慎吾にフェデリコ・フェリーニの名作『道』をリクエスト!映画『二宮金次郎』 五十嵐匠監督インタビュー【後編】

映画二宮金次郎

【後編】は、貧しさから博打に明け暮れる五平を演じた柳沢慎吾さんへの演出や撮影現場でのエピソードを振り返っていただきながら、五十嵐匠監督の映画作りのこだわりを徹底解剖!さらに、豊かさや映画の魅力についても言及していただき、今の時代を生きる皆さんに五十嵐監督からの力強いメッセージをお届けします。

―――― 柳沢慎吾さんは舞台挨拶などでも盛り上げ役としてとても面白い方です。撮影中のエピソードを教えていただけますか?

五十嵐匠監督
柳沢君の本番に入った時の集中力はすごいものがあります。いろんなタイプの役者さんがいるんですよ。作り込んでくる人はそんなことやらないから。ボクサーみたいにずっと椅子に座って出番を待つ人もいれば、馬鹿話をしてスタッフを笑わせて、ヨーイってなるとガラッと変わる人も色々います。
柳沢君の役は脚本には少ししか出ていないんですよ。でも、僕は彼が演じると決まってから、結構シーンを増やしているんです。彼(五平)が変わっていく過程を入れているんです。最後はあそこで泣くじゃないですか、あそこが彼のポイントなので。

―――― 五平は絶望の果てに彼なりの人生の歩み方を選んだということが分かった。二宮に従うことで自分も幸せになれると思った。

五十嵐匠監督
最初に五平と二宮が出会った時に、二宮は「五平さん」って名前を呼ぶじゃないですか。五平は今まで百姓連中から自分の名前を呼ばれたことがないと思うんですよ。つまり天涯孤独で背中が曲がっていますよね?
貧乏でカルシウム不足で、日が当たらないところで生活し、ずっと家に居て、嫁ももらわず、一人で博打やっているわけじゃないですか。そうすると誰も鼻もひっかけないんです。その五平が生まれて初めてわけ分かんない人から「五平さん」って名前を呼ばれたじゃないですか。そこで、「五平さん」って名前を呼ばれたら柳沢君は「はい」って答えるんですよ。あの「はい」は脚本にはないわけ。(脚本では)黙っているわけ。でも、柳沢君は初めて他人から自分の名前を呼ばれたことに対して、つい「はい」って言ってしまった。
その時、栁沢君は五平という役を生きているんだなと思いました。
五平の中にあるモノはやっぱり純粋なモノなんです。そこで多分二宮は五平という男を通してこの村は決して悪い村ではないんじゃないかということをなんとなく分かるんです。五平は漢字も書けない男なんですが、二宮の背中を見ることによって少しずつ彼の中で希望が見えてくるんです。だから希望が見えた時に「俺もなりてぇ、本百姓」っていうじゃないですか。そうすると「おメエなんてなれる訳ないじゃないか」と言われる。で、少しずつ少しずつ変わって、二宮と豊田の対決の時に二宮が土を握りしめて命を懸けていると言った時に五平もそうするじゃないですか。そういった少しずつの五平の変わり様を脚本の中に入れたんです。最後の最後にガーッと泣くっていうのが彼の底にある綺麗な水が出たっていう風にしました。

―――― 涙があふれ出た時の五平の台詞がとても良かったです。

五十嵐匠監督
勉強していないから、学がないからもう理屈じゃないんです。だけど、何か知らないんだけど五平の涙と百姓達の涙とは多分違うと思うんです。
フェデリコ・フェリーニ監督の『道(1954年 伊)』で、最後ザンパノは愛するジェルソミーナが亡くなって海辺でバーッと泣くんですけど、あれもそういうイメージがあったんです。撮影の二日目にクライマックスのシーンの撮影で、それを柳沢君に言ったらびっくりしていました。まさかそういう芝居をさせられるとは思わなかったわけだから。でも、柳沢君が凄いのはやってくれるわけですよ。僕は撮影二日目のクライマックスの撮影でそういう風な芝居をしてくれってことでケツ合わせにしてくれっていう風に暗黙の了解で演出したつもりでした。こういう人間をあなたはこれから演じるんだよっていうことを言って、そこからだんだんここまで来る人の計画を立ててくれってことをバックで僕は言ってるつもりでした。彼はその監督の意図を受けてくれたんです。

―――― 最後から遡って演じていくというのは分かり易くもありますが、最後を演じること自体が難しいことですね。

五十嵐匠監督
最後はそうなるんだっていうところから、その後、ヤクザみたいな最初の出会いを撮影しました。
普通それは出来ないです。順撮りで段々変わっていく方がやりやすいけれど、そこは長いキャリアがモノをいってると思います。

――― 柳沢さんに笑わされたことはあっても泣かされたことはなかったんですが、込み上げて来るものがありました。

五十嵐匠監督
ネット上の感想でもありましたね、柳沢さんで泣くとは思わなかったって。
凄く存在感がある人なんですよ。役者と監督って暗黙の了解があって、脚本の読み合わせで僕が「あ!背むしにしましょうか。じゃここに座布団入れて芝居しましょうか」となった時に彼が何て言ったかっていうと「じゃ、歯汚しましょうか」ってなるわけですよ。そうすると、歯を汚して、じゃあ指の中に土入れようかと。そういう風に暗黙の了解で、面白くなるわけです。

―――― 1つ伝えたら10理解して返してくれるみたいなところですね?

五十嵐匠監督
そう。僕は必ず百姓は分けているんですよ、本百姓、水呑百姓、小作人と。小作人は土仕事しているから、指の爪に沢山土が入るんですよ。そうすると役者連中は僕の方に来て「監督、これでいいですか?」と見せてきて、僕も、「もうちょっと土入れた方がいい」とか、「本百姓はあんまり畑仕事をしていないから綺麗でいい」とか返せるんです。で、下の小作人は歯を磨いていなかったから、歯を汚すとかランク付けしました。金を持ってない人は褌(ふんどし)一つだし。本百姓になるとちゃんと着流しになって、パッチをはいていたりと全部ランクがあります。皆が集まるシーンでは、本百姓は土地を持っているから前に来る、だけど小作人は自分の田を持っていないから戸口にいる。
百姓たちにも格差があって、所謂カースト制度だったわけです。


「技師鳥居信平著述集」コラム70ページ

「鳥居は日本における不在地主と小作農の解決法として、大規模な開墾によって自作農を創設すべきであると考え方を懐き、その考えを台湾で実験したように思われる。・・・・・・これが鳥居信平が生涯を通して大規模開墾を実践した背景にある考え方であるに思われる。それは映画「二宮金次郎」(監督:五十嵐匠.)で、小作人が「おらも自作農になれるのか」という驚きと歓喜にも通じているようであり、二宮尊徳の考えにも通じているように思われる。」

土地国有の可否を論ず
「土地国有の可否を論ず」で、まず驚いたのは、共産主義と社会主義における土地所有の問題について詳細に論述して、一見鳥居が土地国有化を是認しているようにみえる。これは大正デモクラシーの時代だからできたことであろうか。鈴木藤三郎は「国力増進の根本策」(明治37年)において「我が国は開国以来施政の根本を誤っている」「国家が功労を賞するは、軍人を第一とし、政治家を次とする」「ここにおいて人は皆武士たらんことを望み」「天下の人材は軍人、政治家となり」「実業界に人物の欠乏を来し」と批判した。そして「実業界に人物の輩出を計り国家経済を発達させ国富を強大にすべき」と論じた。(『日本近代製糖業の父』p.90)昭和になってから次第に日本が軍国主義化するなかでは、共に許されなかったように感じる。
また徳島県の農業技師として各地域を視察する中で、当時の不在地主と小作農のありかたに問題意識を感じていたようだ。「現今社会の多数の小作者が衣食に汲々たるに、春遊夜宴の徒は富貴に苦しむ、これ正義に反する。」「土地の所有権は、社会の事情に適応するために発達したもので、必ずしも神聖視すべきものではない。だから国民の幸福と安寧を維持するために、土地所有権を廃止する必要があればこれを廃止して差し支えない」「土地より生ずる利益は、人類全体の利益であり、その方法として国家が土地を所有しその収益を各人に利益を等しく享有させるべきだ。」鳥居は以上の土地国有論を展開した上で、「土地より得る利益は社会全体に均分する主意にはその理由は認めるが、土地国有論は必ずしも善良の結果を得ない」と主張する。「大多数の人間は、自分と子孫のために多く労働する。だから生産を奨励するには、各人の土地所有権を認めることを可とする。」「土地の私有制は、個人の労働、勤勉を鼓舞し、貯蓄を奨励し、土地の生産力を高め、一国の政治上、社会上、安全な人民を保つ方法で、社会の秩序を保つ点からも尊ぶべき」とする。結論として「国民経済より見れば、その衣食に汲々たる細農民、農業労働者を自作ならしむるべく、国家がその方法を攻究し実行すべきであるとする」。おそらく鳥居は日本における不在地主と小作農の解決法として、大規模な開墾によって自作農を創設すべきであると考え方を懐き、その考えを台湾で実験したように思われる。眼病で台湾製糖退職後、日本に帰国後も一貫して国による大規模開墾と自作農創設という考え方を実践していった。
これが鳥居信平が生涯を通して大規模開墾を実践した背景にある考え方であるに思われる。それは映画「二宮金次郎」(監督:五十嵐匠.)で、小作人が「おらも自作農になれるのか」という驚きと歓喜にも通じているようであり、二宮尊徳の考えにも通じているように思われる。





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最終更新日  2021年12月16日 23時29分09秒
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