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晴 陶 句 読

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2018.01.19
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カテゴリ:「本」の紹介

◎◎◎◎◎『楽天の日々』

・古井 由吉     ・キノブックス

~新聞書評だったと思うが、キリヌキが見当たらない・・・ので"自力"で、、! それにしても、一行が44字、1頁
20行、394頁である、表紙こみで厚さ28ミリ、老眼と重さに耐え(ネナガラなので)三日がかり、デシタ・・・!!

1937年生作家の1993年以降の「随想」集大成!!! 1~18篇 2~9篇(「作品前後のこと」) 3~21篇
(含、2010~2012間の日記) 「ブロムナード」22篇 ・「楽天の日々」41篇 4~「プラハ」・「平成紀行」の2篇。


・・各篇とも"短編"であり、文章に余分が無く不足はなく、高潔な筆致ながら平易(と、ナマイキに言うが)、つま
り、自然と次行に流れるほどに極めて読みやすく、昨今の若手作家たちとの違いを見せつけられる。

それほどなので、 例によってフセンは。ページ毎行ごとに多数、控えたつもりだがザッと60は・・・これをどうや
ってまとめるか・・・。 最大の"共感"は、6歳年長ではあるが、「時代」背景と「老境」が重なる納得度だ!!!

全篇を通して、時々振り返るのが「満で八歳にもならなかった私は」「昭和二十年、1945年の三月十日の未
明、夜半を回ってまもなく、空襲警報のサイレン(中略) 広域にわたって人の生きられない『環境』をつくりだす、

つまり、殲滅戦であった。」そして「戦後の経済世界の中でさらに高度な展開を遂げた」大量生産と大量流
通「物量と目標しの徹底は、あの無差別爆撃へ、根っこにおいて通ずるものではないか、方法と技術はお
のずと無限の論理を内にふくんでいて、どこまでも展開しようとする。(以下略)」と、喝破する!!

・3.11東日本大震災~空襲の時の敵弾の落下の切迫が感受の限界を超えかけた境を思いました。恐怖が
実相であり、平穏は有り難い仮象にすぎない。何も変わりはしない。(以下略) ・・・この一つにしとき「老境」

について~・一体、自分は忙しいのか閑なのか、勤勉なのか怠惰なのか。この歳になれば、いずれ人並み
だ、とやがて思う。 ・読んだ事をよく覚え、これを記憶の内に整え、機に臨んで的確に取り出す。 これが

読書家の資格であるとすれば、私は読書家の列に入らない。読んだところから、じつによく、忘れるのだ。

本を閉じたとたんに、ということもある。後日になり、ふっと思い出しかけて、確かめようとして本を開けば、
たいていその個所にかぎって見当たらない。(!!! 大作家と比すべくもないが、コノ文引用がソノトーリ!!)

・漢字がとっさに浮かばない、度忘れかと待つが、いっこうに思い出せない。しかたなしに 辞書にあたる(!!!)
・さて、年が老いるか、大患を患うかすると、この直立の難に苦しむことになる。(中略) 直立の歩行とは、

一歩ずつ、倒れることの先送りにほかならぬとみた。(以下略) ・もしも人生が済んでから振り返ることがで
きるものなら、いい度胸だつた、と事につけやはりあきれることだろう。(以下略)・・キリがないのでこの辺で。

「随想」は、歳時記のごとく「鳥は羽虫、人間は裸虫」などと綴り(句も諸処に)、世の出来事には、あからさま
でなく「敗戦の古傷」とともに人間の本質に言葉を弄して迫り揺るぎない。『日記』もエッセイも、秋から大晦日、

新年にかけてが多い(著者もニッパチなどと)が、本書を貫くのは、「昭和」と「平成」を跨ぐ『断腸亭日常』である
!! 「この日記には今でも高年の愛読者が多いことだろう。いかにかけはなれた人生のことだろうとそれなり

に我が身に、ゆっくりと我が身に照らしあわせて読む。これが高年の読書の味である。(以下略)」 と、まさに
「本書」そのもの!!! 【今日もまた人は年寄る朝曇り】 『「年の残り」を数えるようになった』とはいえ、珠玉の
「随想」と思念を続けて頂きたい!! フフフそして荷風の地でもある当地「中山」にもお出かけください!!!


・・・そうそう、文中に語られていたが、らしいシンプルな本書装幀の 菊地信義氏とは友人だそうな!!
さらにソウソウ! 「楽天」とは"ココ"のことでなく「天命を楽しむ、あるいは、天の理を楽しむことなのだそうだ。」!!







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最終更新日  2018.01.19 15:34:47
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