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カテゴリ:2009年鑑賞映画
![]() 愛は本に託された わずか1ページで終わった恋が、 永遠の長編になるー 上映時間 124分 製作国 アメリカ/ドイツ 公開情報 劇場公開(ショウゲート) 初公開年月 2009/06/19 ジャンル ドラマ/ロマンス/戦争 映倫 PG-12 【ストーリー】 1958年のドイツ。15歳のマイケルは偶然出会った年上のミステリアス な女性ハンナに心奪われ、うぶな少年は彼女と彼女の肉体の虜と なっていく。やがて度重なる情事のなかで、いつしかベッドの上で マイケルが本を朗読することがふたりの日課となる。 ところが、ある日突然ハンナは姿を消してしまう。 8年後、法学生となったマイケルは、ハンナと思いがけない形で 再会を果たす。たまたま傍聴したナチスの戦犯を裁く法廷で被告席に 座る彼女を見てしまったのだ。裁判を見守るマイケルは、彼女が自分が 不利になるのを承知で、ある“秘密”だけは隠し続けようとしていること に気づく。その秘密を知るただ一人の者として、マイケルは葛藤し、 答えを見い出せないまま苦悩を深めていくのだが…。 ![]() 【感想】 < ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() スティーブン・ダルドリー監督は、『リトル・ダンサー』<好き> 『めぐりあう時間たち』<普通>、そしてこの作品と長編3作が すべてアカデミー賞の監督賞にノミネートされているだけあって 重く切ないストーリーではありましたが、綺麗に丁寧に作られた 映像と心に響く音楽で素晴らしい作品でした(T^T) ![]() ![]() ![]() 15歳のマイケルが21歳年上のハンナと知り合ったのは、 偶然でしたが、見ず知らずの少年を介抱して、家まで送り 届けたハンナを見て私はやさしい女性だと感じました。 そして、その後マイケルの家のシーンになりますが、 裕福ではありましたが、その家族関係は、なぜか冷たい 感じがしてしまいました・・・ なので、マイケルは、多感な時期に、魅力的な大人の女性に出会い、 性に目覚めその肉体に溺れてもいくわけですが、彼がハンナに惹かれたのは、 肉体だけではなかったような気がしました・・・ 前半はこれでもかと言うくらい多い(^^ゞLOVE(SEX)シーンですが、 そう言うシーンも含めて、この前半があるからこそ、突然消えてしまった ハンナのことがどうしても忘れられなかったのだと言うマイケルの気持ちが わかります。。。 ![]() でも、、それだけなら、ひと夏の恋なら、少年のひと夏の恋で 終わっていたかもしれません。 時が彼の気持ちを解決してくれたかもしれません。。。 偶然出逢った二人は、8年後、またしても偶然の再会となるわけですが それは、マイケルに、つらい試練を与えました。 ハンナには、二つの秘密がありました。 ひとつは非識字者であったこと、もうひとつはナチに関わっていて 強制収容所の看守であったことでした。。。 朗読者と言うタイトルと映画の予告編などから ハンナの秘密のひとつは、なんとなく見当がついていましたし、 また、前半のいろいろな伏線から想像はついていたのですが 裁判のシーンで、マイケルがハンナが字が読めないことに 気がついて愕然としたシーンに、私は、やっぱりと思いました。。。 ですので、私が驚いたのは、彼女が非識字者だったと言うことより 収容所の看守であった(ユダヤ人殺害に加担していた)と言う事実でした。。。 ![]() 裁かれている彼女は毅然とした態度で、自分がどうして 裁かれるのかが、わかっていないようにも思えました。 彼女にしてみれば、自分の仕事をルールに従って真面目に こなしただけなのです。 非識字者の彼女は、自分がしていたことを本当には理解して いなかったんだと思います。字が読めないと言うことは、彼女が 貧しい階層の人間であって、彼女は生きて行くために、生き抜くために 仕事をしていただけなのです。。。 罪を責めた裁判官に「あなたならどうしましたか?」と問い返すハンナに 答えられなかった裁判長・・・ 彼女の問いには、誰も答えられないと思います。。。 非識字者だと知られることより、罪人になることを選ぶ彼女の気持ちは 私には理解できないことですが、彼女にとっては、罪人になることより、 文盲と知られることのほうが屈辱だったんでしょうね・・・ 彼女はプライドの高い人間だったのかもしれませんし、他に理由があるのかも しれません。。。 彼女が識字者であったことに気がついたマイケルは、自分がそのことを話して 彼女の刑を軽くするべきか、彼女の気持ちを尊重し何も言わないでおくべきか、 自分はどうすればいいのか苦悩します・・・ 結局、マイケルは、なんの行動も起こさず、ハンナは無期懲役を 言い渡されます。。 その判決を言い渡された時のマイケルの涙が忘れられません ![]() それからのマイケルの人生は、弁護士と言う職業についてはいるものの 結婚して娘が生まれたけれど離婚、娘にも距離を置くような人間に なっていました。 マイケルは、ハンナが刑に服している間も、ハンナのことをずっと考えて いたんでしょうね。そして、彼は、離婚を機に決心します。 彼女の朗読者になることを・・・ ![]() カセットテープに彼が次から次へと朗読を吹き込むシーンから もう ![]() theの文字を囲み出すシーン、やっと覚えた字で、マイケルに 手紙を書くハンナ・・・たった1行、2行の文字でしたが その当たりは、もう、 ![]() 二人は20年後、40代と60代になって刑務所の食堂で 対面するわけですが、マイケルを見た時のハンナの 輝くような嬉しそうな表情と「大人になったわね、坊や」」と、 40過ぎた男性を、坊やと呼ぶシーンにもまたまた涙が 出てしきてまいました ![]() その時のマイケルは、とてもそっけないような感じがしました。 愛してはいたけれど、彼女の罪は許せなかったのでしょうか・・・ そしてそんな態度のマイケルにハンナは寂しさを感じたようにも 思えました・・・ マイケルがハンナに逢いに行った時、刑務所の管理?の女性が、 最近はあまりきちんとしていない・・みたいなことを言っていたので、 私はハンナがボケてしまったのかと思ったのですが(^^ゞ 彼女の最後を見ると、出所後身寄りがなく、最初から彼女は ああすることを決めていたのではないかとも思いました。 もし、マイケルがやさしい言葉をかけてあげて、手を握りしめてあげたら 彼女の考えは変わったかもしれません。。。 彼女はナチに加担したと言う意味では加害者でしたが、第二次世界大戦と いう背景を背負って生きなければならなかったドイツ人の文盲で あったと言うことを考えると時代の被害者でもあったと感じました ![]() 彼女の遺言により、マイケルがニューヨークで生活している 収容所の生存者に彼女が貯めていたお金を持って行くのですが、 ハンナが文盲であったとわかっても、その女性は、お金は受け取れないと 拒否します・・・が、お金が入っていた紅茶の缶は、懐かしいと言って 受け取ります。マイケルが出て行ってから、彼女はその紅茶の缶を、 亡くなってしまった家族の写真の横に置きます。 このシーンもジーンとしました ![]() 文盲であった彼女が辿った人生の最後は自殺であり、一方、収容所から 奇跡的に生存できたユダヤ人女性は作家として成功して、ニューヨークで ゴージャスな家で生活をしている様子に、運命の皮肉を感じ 非識字者が生きて行くことの困難さを感じました。。。 キャストは素晴らしかったです ![]() ![]() <ハンナ(ケイト・ウィンスレット)・・・この作品でGG賞で最優秀助演女優賞、 アカデミー賞で最優秀主演女優賞をとりました。こう言う役柄ケイトは 上手です ![]() ![]() <15歳から23歳までのマイケル(=デビッド・クロス)予告編などで 観ても好みのタイプではなかったですが(笑)演技はかなり良かったです。 15歳の役ですが、撮影時は18歳でした。> ![]() <大人になったマイケル(=レイフ・ファインズ)・・・このかたは、 傷心とか追憶とか言う言葉が似合いますね。> ![]() <強制収容所の生き残りの母親とその娘の二役(=レナ・オリン)・・・裁判シーンに 出てきた時は、ずいぶん老け役だなあと思ったのですが、それから20年後、 娘役でラストに出てきて、だから、レナ・オリンが演じたんだと納得しました> ![]() <ロール教授(=ブルーノ・ガンツ)・・・とても存在感のある俳優さんだと 思ったら、ドイツでは有名な俳優さんで、「ヒトラー最後の12日間」の 主役のかたでした。> 深い余韻を残す心に残る作品でした・・・ いろいろなことを考えさせてくれましたし また観終った後に誰かと語り合いたいとも思った映画でした・・・ 原作を読んで、またこの作品を観たいと思います・・・ ![]() ![]() <パンフレット¥600 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.06.26 01:34:54
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