ギルフォードの創造性因子
大阪のkey-2さんから,「認知心理学(4):思考」(東京大学出版会,1996)に載っている「創造的思考と発想支援」の中にあるギルフォード6つの創造性因子の出所についてご質問をいただきました. 1.問題に対する感受性:問題点を発見する能力, 2.思考の流暢性:生成するアイデアの量, 3.思考の柔軟性:異なるアイデアを広範に生成する能力, 4.独創性:ユニークな答を出す能力, 5.綿密性:具体的に工夫し完成させる能力, 6.再定義:ものを異なる目的に利用できる能力. がそれなんですが,1950年代にギルフォードは空軍の士官や訓練生を対象に何十という検査を開発して因子分析を行っています.創造性に関わりそうな因子もこっちで8つむこうで5つという具合に記録されているのですが,6つというのがどこから出てきたのか,著者がはっきり出典を明記していないのは確かにいい加減といえばいい加減だ.参考になるかもしれないのは,1953年にPsychometrika(19,(4), pp.297-311)に発表されたRobert C. Wilson, J. P. Guilford, Paul R. Christensen and Donald J. Lewisの"A factor-analytic study of creative-thinking abilities" という論文で,上の6つのうちの緻密性以外はここに出てくる.よく読めば緻密性も示唆されているのかもしれないけれど,あまり質問してくださった方を待たせても申し訳ないので,今日はここまで.