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アンチエイジングの鬼

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2012年04月27日
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みなさん、こんにちは。

4月18日、私の尊敬する千葉県の造り酒屋、寺田本家の23代目当主・寺田啓佐さんが突然天国に旅立ってしまわれました。
玄米酒「むすひ」を愛飲していたこともあり、4年前名著「発酵道」を読んで感動!
蔵に行かせて頂き、蔵で1日すごさせて頂いて大変感銘を受けて、その時から密かに心の師匠とさせて頂いておりました。

寺田本家に関するブログ記事
発酵場体験
Something great!
うれしき、たのしき、ありがたき

その後、お米で出来たマイグルトも発売されたり、お蔵フェスタは大イベントに発展していき、寺田さんは日本のナチュラル・オーガニック界を牽引するカリスマ的な存在であったと思います。
今年1月の終わりにうちの会社のスタッフ全員で蔵に行かせていただき、じっくり蔵を案内して頂き、私たちに1時間も発酵道を説いて下さいました。
うちの息子にもニコニコしながら太鼓を教えて下さいました。

taiko


「食べ物も体も心も、発酵していれば腐らない」
「うれしき、たのしき、ありがたき 3つの「き」でお神酒。それが人生を発酵させる道」



たくさんの発酵の種を、私たちの心の深い所に蒔いて下さったように思います。
若い頃は利益を追求し、速醸という近代的なアルコールや合成乳酸、グルタミン酸ソーダ、粉あめ添加の酒作りをし、タバコを吸い、3食かつ丼でも平気だったという寺田さん。
経営も人間関係もうまく行かず、あげくは腸が腐る病気になって大手術。
このことをきっかけに猛反省して、人生も酒作りも、すべてにおいて変革を起こし、まったく別の生き方をするようになった寺田さん。

お酒作りも、2倍の時間がかかる昔ながらの酒造りを復活させ、その上赤字経営だったにも関わらず、原料を3倍の値段がする「無農薬米」に切り替えました。
乳酸や酵母を添加せず、蔵に住み着いている微生物の力だけで、時間をかけて作るのです。
機械をだんだんとやめ、お米を洗うのもお水で、素手で洗い、仕込み歌を復活させて、みんなで楽しく歌いながらお酒を仕込み始めました。

蔵に住んでいる微生物たちのおかげで、百薬の長と呼ばれる本物のお酒が出来る。
寺田さんは微生物たちの働きを考えた時、自分も微生物のように生きようと思ったそうです。

微生物というのは、みんな自分が大好きで、自分に心地よい生き方をし、仲良く分かち合って生きているそうです。
無理をしない、がんばらない。


人間社会は競争社会ですが、微生物の世界では奪い合いはなく、自分の役割や使命を心得ていて、相手を尊重し、自分の出番になるとやってきて命を燃やして使命を果たし、次の微生物にバトンタッチしていく。
微生物の世界は、分かち合いの世界、共生の世界だそうです。



自然に逆らった生き方を、微生物のように自分らしく心地良く仲良く生きる方向にシフトしていくということが、これからの時代の循環、調和、共生の世界の幕開けだと寺田さんは話しておられました。

寺田さんはよく「発酵してると腐らない」と話しておられました。
お味噌もお醤油も、自然に沿っていると発酵してきて腐らない。
腐らないのは、変化しているからだと言います。
発酵というのは、確かに微生物が有機物を分解して化学変化を起こし、新しい違ったものに変えていく触媒作用のこと。

人間も腐らないためには、変化を恐れず楽しく変わることだと、1月蔵にお邪魔した時、寺田さんは私たちに教えて下さいました。
経営で言うと、発酵経営ということらしいです。
確かに寺田さんは、常に変革し続けていました。
既成概念や常識に囚われないで、玄米酒「むすひ」のような不思議なお酒を作ってみたり、マイグルトを造ってみたり。
こういうのはどこの酒蔵でも造れるはずなのに、どこもやろうとしないそうです。


変わるには勇気がいるけど、勇気の源は慈しみと愛だと話してくれました。
人と比較せず、自分の信じた自分らしい生き方を楽しく貫くことだと。


寺田さんとの出会いがあったから、私も既成概念に囚われずに、植物の抗酸化物質の力だけでサンスクリーンを作るとか、ナノ粒子を使わずにUVカット出来るファンデーションを作るとかいうことを、あきらめずに実現出来たのかもしれません。

4年前、初めてお会いした寺田さんは、昔そんな生活をしていた方とは微塵も感じないほど、静かで慈愛に満ちた表情。
そのお人柄と生き方にすっかり魅了されてしまいました。
どうして、そこまで変わることが出来たのかと問う私に、寺田さんは一言「サムシンググレートですね。何か偉大なる力に導かれたとしか思えない。」と話してくれたのでした。

1月蔵に訪れて初めて話を聞いたうちのスタッフの1人が、蔵を出た時に、心の中に流れてきたのが「アメージンググレース」の歌だったそうです。


アメージング・グレース

何と美しい響きであろうか

私のような者までも救ってくださる

道を踏み外しさまよっていた私を

神は救い上げてくださり

今まで見えなかった神の恵みを

今は見出すことができる


寺田さんに起きた心の変革の奇跡と、蔵に住む微生物たちの恵み、、
それは、アメージンググレース。
自然界の恵みに沿った発酵した生き方を私たちもしたい、、みんなそう思いました。

ちょうど新しく出すファンデーションの名前をみんなで考えていた時だったので、この曲にちなんで、ファンデーションの名前は「アメージングオーガニックファンデーション」にしよう!ということになりました。
自然界の恵みを生かした、ノンナノでありながらふわっとシルキー肌になる驚きのファンデーションにふさわしい名前だと思いました。
このことは、まだ寺田さんには話しておらず、発売されたら話そうって思っていたのです。
それなのに、、、、、

雨の中お通夜に行くと、すぐにでもしゃべりだしそうな、ダンディな蝶ネクタイの寺田さんがいました。
病気だったわけじゃなく、とってもお元気だったのに、お別れは急に訪れました。
お蔵フェスタの疲れから風邪をこじらせて肺炎になって、それがたまたま、とてもやっかいな抗生物質耐性菌だったようで、、
そうです。それこそ現代社会の歪みが生み出したもの、、、
本当に、誰もが予測も出来ない、突然の出来事です。
ほんの3週間前まで、新しく出したい本のことや新製品についてイキイキお話しされていたそうです。
新しいお酒の企画や、福島での除染活動も精力的にされていた矢先、、、

もっともっとお話ししたかった。まだまだ会えると思っていたのに。
私のお店にも来て下さって、これから一緒に何か作ろうって話して下さっていたのに、、
除染に効果的なEM菌とお酒の菌と光合成細菌を、うちの新しい畑のために用意しておいてあげるよって言って下さっていたのに、、、
すべて、つい先日のことです。
まるで仏様みたいな人だったから、早々に今生を卒業されてしまわれたのでしょうか。

あまりにも多くのことを寺田さんから学ばせて頂きました。
寺田さんの発酵道を私たちが受け継ぎ、必ず広めていきます。
今世ではもうお会い出来ないかもしれないけど、今も寺田さんと繋がっていると感じています。

そういえばここ1年くらい、そういう感覚が強くなりました。
繋がっている人とは、しょっちゅう会わなくても繋がりを感じます。
場所とか、時間とかは関係なくなりつつあるようです。
それは地球の裏側でも、天国でも、、、、

寺田さんから受け取った発酵の種を蒔き、私も微生物のように楽しく変化しながら発酵し、自分の役割をはたしていきたいと思っています。
どうか見守っていて下さい。


Amazing Grace







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Last updated  2012年04月27日 11時12分11秒
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