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テーマ:障害児と生きる日常(4432)
カテゴリ:共に生き、共に育つ
前回、「排除から共生へ」というお話をしました。
「排除せずに一緒にやっていく」ということは、「インクルージョン」(包摂、包含)と言われます。 人権教育の中でもかなり重要な考え方です。 今日紹介する本は、「インクルージョン」についての本。 こちらも、ジャンルとしては当事者の手記にあたります。 障害のある姉弟の親である柴田靖子さんによる『ビバ!インクルージョン』です。 『ビバ!インクルージョン 私が療育・特別支援教育の伝道師にならなかったワケ』 (柴田靖子、現代書館、2016、税別1800円) 本書には、「重度障害」と呼ばれる障害児・者を取り巻く現状について様々な問題提起がされています。 (現状と言っても少し前ですが・・・) 前回の本と同様、「知っておく」意義は非常にあると思っています。 知らなければ、全く想像もしていなかったことが、きっとあるはずです。 たとえば、本書での重要な指摘として、次のようなものがあります。 ==================== ・「意思表示(表現)がないこと」と「意志がないこと」という全く別のことが混同されている (p28) ==================== 僕が言葉がなかなか話せない子どもを担任していたときにも、「この子は話せないんだから」とそもそも話しかけもしないという周りの関わり方が見られました。 言葉で表現できること以外にも、表情や目線、体の緊張具合など、本人はいろいろな手段を使ってメッセージを発しており、それを受け止めようとする気持ちさえあれば、心を通わせることもできるかもしれないにもかかわらずです。 ほかにも、事故の後で意思表示ができなくなったけれど、意志としては持っている、という人のことを聞いたこともあります。 「意思表示(表現)がないこと」と「意志がないこと」は全く別のことです。 「意思表示(表現)がない」からと言って、本人の気持ちを確かめようともせずに周りがあれこれ決めてしまうというのは、本人が本人らしく生きようとする権利を奪っていると言えます。 さて、前回の本同様、法整備に伴い、障害のある方の権利保障も近年拡充してきました。 大きなものとしては、 2003年(平成15年)4月 「支援費制度」の施行 がされています。 本書の中では次のように説明されています。 ==================== ・それまで行政が「判定」して「このサービスを使いなさい」と「措置」していた18歳以上の障害のある人の施設入所が「自由契約」になり 選択の自由ができたこと、 それとともに「入所しない」という選択を想定して居宅での自立した生活のための介護(介助)=ホームヘルプサービスも自ら「契約」し「選択」できるようになった (p42より) ==================== 本人が決められずに周りが決めていたことを、本人の意志で決められるようにしたことは、非常に画期的です。 ただ、この制度、わずか3年で廃止され、「障害者自立支援法」に移行することになります。 この法律については当時かなり多い批判意見を聞いていました。 Wikipediaのこの法律の解説によると「応益負担の実施により、障害が重い障害者ほどサービスを受けると、結果として受けたサービス分(1割負担)を支払わなければならない」として訴訟が行なわれた、とあります。(詳しくはリンク先を参照) すったもんだの末、2012年(平成24年)に障害者自立支援法は障害者総合支援法に改正することになりました。 最近では障害のある方のための法律を決める際に当事者も含めて話し合いをして決めるように変わってきており、こういったこれまでの経緯をふまえた立法がされるようになってきたのは喜ばしい限りです。 一方では、本書では「学校」というところはなかなか変われていない、ということも書かれています。 本書p97で ==================== ■「障害」の意味が変わった ~「医療モデル」から「社会モデル」へ ・障害というものは個人が努力して治すものではない。 ・変化という点において努力すべきは社会のほうである。 (p97より) ==================== として新しい「障害」観が示されていますが、学校を取り巻く環境はまだまだ「医療モデル」に依拠していると感じられます。 本書で「特別支援教育」が批判されているのも、そういった点が大きいでしょう。 ==================== ・「排除の原因となってきた条件を解消する方法は、環境のほうを整えることに尽きる」 「万人のための学校に変化することこそが求められる」 (p41より:ミットラー氏の講演の中での言葉) ==================== 学校におけるインクルージョンは、いわゆる「インクルーシブ教育」として、近年特に声高に叫ばれてきました。一昔前と比べると隔世の感があります。ただ、それでもまだまだ体制整備が追いついていないと思います。 さて、この本、電子書籍版もあります。 もともと本書巻末には「活字で利用できない方のためのテキストデータ請求券」がついており、電子書籍化もしやすかったのかもしれません。 楽天アプリをインストールすれば本書の冒頭を無料で見ることができますよ。 『ビバ! インクルージョン 私が療育・特別支援教育の伝道師にならなかったワケ』 【電子書籍】[ 柴田靖子 ] 関連する過去記事 ▼「インクルーシブ教育」を考えるテキスト『「みんなの学校」をつくるために』 (2020/7/25の日記) ▼インクルージョンをめざす取組~『連携と協働の学童保育論』1 (2013/12/20の日記) ▼ソーシャル・インクルージョンやインクルーシブ教育をめざす実践 ~『連携と協働の学童保育論』6 (2013/12/30の日記) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.12.08 19:39:17
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