テーマ:熱帯魚&水草の話(1149)
カテゴリ:熱帯魚
グラスバルブの仲間は、マレー半島からインドネシアを中心に分布しているコイ科の魚で、現在7種ほどが知られているようです。今回の個体はヒポフタルムス種(P.hypophthalmus)だと思われますが、一般的なのはオキシガストロイデス種(P.oxygastroides)でしょう。もっとも、パラケラ属の魚はすべてをひっくるめてグラスバルブと呼称されているようです。 成長すると体長は15cmくらいにまで達する中型の魚ですが、我が国で見かけるのは今回の画像の個体同様、体長5cm前後の若魚でしょう。現地では、渓流とまではいきませんがかなり川の上流の方に棲息しています。日本の川で言うと、ウグイ辺りが棲息している環境と似たようなもんです。したがって、飼育に際しては夏場の高水温と酸欠には注意する必要があります。しかし、基本的には丈夫な魚なので飼育に関して困る事はあまりありません。 性質も温和なので、同種他種を問わず混泳させて大丈夫でしょう。餌は、自然下では水面に落下した昆虫を主食としていると言う報告があるように、水面に乾燥アカムシ辺りを落としてやると非常に喜んで食べてくれます。しかし、人工餌にも餌付いてくれますので心配はいりません。ただ、水底に沈んだ餌は食べにくいみたいなので、出来るだけ水面に浮かんでいる時間の長いタイプの餌がお奨めです。 ところで、グラスバルブって何の変哲もない外見してますが、幼魚の内は尾鰭の上下端が黒く染まって結構可愛らしいんですよ。今を遡る事20年ほど前、ボルネオ島のクチン郊外をジャングルトレッキングしてた時の事。とある滝の下流で、グラスバルブの幼魚を発見し夢中になって採集したのを憶えています。当時は、それがグラスバルブの幼魚だと言う事は知らなかったので(成魚の存在は知ってましたが)、これは素晴しい魚を見つけたもんだと一人感激してました。でも、非常に動きがすばやく、なかなか上手く捕まる事が出来ません。そこで、あたりで水遊びをしていた現地の子ども達を手乗りにして捕獲を手伝わせ捕獲作戦を展開しました(笑)。 結局、30尾ほども捕獲して大事に日本に持ち帰りました。手持ちの文献見ても、尾鰭の上下が黒く染まるこの手の魚なんて記載されていなかったものですから「こりゃ、もしかして新種かも?」なんて淡い期待を胸に抱きながら一生懸命飼育した覚えがあります。そして、数ヵ月後には尾鰭のブラックチップも消えうせ、すっかりグラスバルブになってしまった大量の個体を抱えて途方に暮れた、若き日のさかなおやじなのでした・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[熱帯魚] カテゴリの最新記事
|
|