テーマ:ベタが大好き!(585)
カテゴリ:逸品堂通信
昨日の記事のような、プラカットのラベンダー・バタフライが一度作出されれば、今度は様々な方向に改良が施されていくのはバンコクならば当然予測される事です。バンコクのブリーダー達がベタを産卵させて、市場に出せる大きさにまで育てるのにだいたい2~3ヶ月を要します。おそらくは生後4ヶ月もすれば、彼らは次世代を残す事ができる様なところまで成長を遂げるはずなので、バンコクで一度品種が作出されてから半年もすれば、その品種を元にした更なるカラーバリエーションが巷に出回るようになると言う訳です。 ただ、ここで一つ申し上げておきたいのですがバンコクのベタブリーダーが百発百中の精度で、素晴しい個体を作出しているとは考えないでいただきたいと言う事です。特に、ニューカラーを作出中にはどうにもならん(苦笑)個体がワンサカ出てきます。マーケットで見かける個体さえ、日本人の美意識で何とかOK出せる個体は半分もありません。逸品堂で扱う個体は、こう見えてもかなり厳しき選別してるんですよ(笑)。ブリーダーの所に行けばこの傾向はなおさら顕著です。養殖場には、無数のそれこそ数千個のガラス瓶が置いてありその一つ一つにオスの成魚が入っているんですけど、この中でゲットしたいなって思える個体は審査基準を大甘にしても10尾に1尾、いや本気で選んだら100分の1くらいの確率でしか逸品には出会えません。要するに、バンコクブリーダー達は数打ちゃ当たる方式を採用してると言う事です。もっとも、その育成技術とかは素晴しいものなのは間違いありませんけど。 それにしても、脅威の育成スピードですね~。やっぱり、水温が高い事や生き餌が豊富な事が影響しているんでしょう。我が国では、このサイクルで世代交代はチョットと言うかかなりきついと思います。卵生メダカやアピストなどの原種を累代飼育する場合は、出来るだけ世代交代のサイクルをゆっくりとするのが系統維持の鉄則です。つまり、自然界と違って、どうしても近親交配を行わざるを得ない飼育下ではその弊害を避けるために、出来るだけ世代を重ねたくないと言う事です。 ところが改良ベタやグッピーなどでは、逆に如何に短期間で次の世代を作りだせるかが改良のポイントとなります。品種改良なんてものは早いもんがちですから(笑)、他のブリーダーより少しでも早く新たな品種を作出し、市場に出荷しなければプロブリーダーは務まりません。ベタの場合、バンコクのブリーダーは4ヶ月前後で1回転ですから年3世代の交代、我が国では半年くらいは最低でも必要でしょうから良くて年2回の世代交代。これでは、改良のスピードで勝ち目が無いのは明白です。やっぱり、我が国のブリーダーは、ニューカラーの作出を追い求めるのではなく体型やヒレの形状などを時間をかけてじっくりと仕上げて行くのが正しい道ってもんなんでしょうか。 バンコクのブリーダー達の間で生産が始まったラベンダー・バタフライの中でボディをブルーに持っていく改良を進めた、つまりサラマンダー・バタフライを目指したものが今日紹介する個体って事なんでしょうか。昨日紹介したローズピンクのボディの個体とはずいぶん印象が異なりますね~。どちらを選ぶかはもちろん飼育者の好みですからどうぞ御自由にって感じですが(笑)、ヒレ先のホワイトバンドに関して言えばこちらの個体の方が数段グレードが上でしょう。プラカットにしては、脅威のホワイトバンドで見事としか形容できません。やはり恐るべし、バンコクブリーダー! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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