カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
便座冷たし世界地図睨む夜 万国旗小春の影を落としけり 冬虹のかけらとなった万国旗 万国旗隠し持つ手の如き鵠
11月30日のプレバト俳句。 お題は「万国旗」。 ◇ 清水アナ。 便座冷たし 世界地図睨む夜 なかなか面白い句材です。 トイレの壁に世界地図が貼ってあるのね。 先生は「世界地図」から始める語順にせよ、とのこと。 たとえば、 a. 世界地図にらむ便座の冷えし夜 b. 世界地図にらみ冷たき夜よの便座 c. 世界地図にらむ寒夜の便座かな などの案がありえます。 動詞「にらむ」は、 通常なら連体形になるはずですが、 連用形で「にらみ」とすれば、 そのあとに「座る」「いきむ」などの省略を仄めかせる。 でも、 動詞を使わずに句またがりで、 世界地図の壁 夜の便座つめたし と写生するほうが面白いんじゃないかな。
◇ 森迫永依。 万国旗小春の影を落としけり 作者自身は、 《万国旗の影が小春の暖かさをもたらす》 とポジティブな印象を詠んだらしいけど、 先生も言ったように、 「影を落とす」という慣用句のニュアンスが、 不穏な世界情勢のネガティブな印象を抱かせる。 平和への願いを込めてることには違いないけど、 作者の意図とは逆の解釈で高評価となりました。 追記:たとえば《万国旗小春の影を地に揺らす》のようにすれば、ネガティブな読みは避けられるかもしれません。 ◇ 森口瑤子。 冬虹のかけらとなった万国旗 冬虹に溶けて万国旗の残像(添削後) ある種の幻想句ですが、 やや散文的という気がしなくはない。 より韻文らしくするために、 a. 冬虹の欠片となりて万国旗 b. 冬虹の散りたるごとき万国旗 c. 冬虹の弧のほどければ万国旗 などの案もあるかと思います。 なお、原句は、 《虹が消えて万国旗になった》という話だけど、 なぜか添削句のほうは、 《万国旗が消えて虹になった》という話に変わってる。 追記:Tverで作者の話を聞き直すと「褪せている万国旗が冬の虹にリンクして…。吸い取られてしまったのかな」と言ってるので、「万国旗」の色彩が「冬虹」に吸い取られたという意味かもしれません。そう考えれば、添削はそれなりに意図を汲んでるし、たとえば《万国旗色あせ冬の虹と化す》のような案もありえます。 ◇ フルポン村上。 万国旗隠し持つ手の如き鵠くぐい 万国旗抱くか 白鳥の羽撃はたたき(添削後) これも一種の幻想句ですが、 白鳥のくちばしをマジシャンの手に見立て、 そこからカラフルな万国旗まで想像させるのは、 かなり唐突な比喩じゃないかなと思う。 しかも、わたし個人の感覚でいえば、 万国旗の手品は、 手よりも口から繰り出すイメージが強いので、 そもそも「万国旗隠し持つ手」の意味が分かりにくい。 せめて「万国旗を繰り出す手」のほうが平易かも。 17音で表現するには困難な内容の幻想でした。 添削句も、完全な改作になってます。 追記:Tverで作者の話を聞き直したら、白鳥の「くちばし」ではなく「飛び立つときの華やかさ」をマジシャンの手に見立てたとのこと。だとすれば、先生の添削はその意図を汲んでますね。 ▽過去の記事はこちら https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.06 08:51:41
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