カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
かじかむ手シワの号外握りしめ 新元号重なるシュプール光さす 十の目を集めし鰤は丸一本 号外も炬燵でスマホ此のごろは 冬の虹トラウマ乗り越えアレ掴む 昭和逝く凍星今日もそこにある 極月の号外無傷のチャンピオン スパイクに詰める号外冬の雨
12月21日のプレバト俳句。 今回は女子アナ対戦。 お題は「号外」。 ◇ 森香澄。 号外も炬燵でスマホ 此のごろは 号外をスマホで眺めゐる炬燵(添削後) 下五の「此のごろは」の説明で、 いっきに俳句でなく川柳になってしまう。 まあ、 アナウンサーに「号外」という兼題なので、 どうしても時事川柳になりがちよね。 ◇ 青山祐子。 冬の虹 トラウマ乗り越えアレ掴む 優勝アレ掴む三十八年目の冬虹(添削後) これも時事川柳。 とくに「トラウマ乗り越え」が、 俳句の描写でなく川柳の説明になってる。 なお、冬の句にしてますが、 一般的に日本シリーズ最終戦って秋なのでは? 今年は11月5日だったので、ちょっと微妙ではある。 ◇ 松田和佳。 かじかむ手シワの号外握りしめ 悴かじかむや 皺の号外握りしめ(添削後) 原句は「悴む手が握りしめる」という一句一章。 かたや、添削句は、 同じ手の描写をわざわざ2カットに分け、 「悴む手」と「握りしめる手」の二句一章にしてますが、 そんなことをするなら、 せめて別の季語を使って「悴む」は諦めるべきでしょう。 そもそも、手の描写がそんなに重要とも思えない。 慶応高校の優勝を詠んだらしいので、 それを季節どおりに書くなら、 甲子園の夏 皺くちゃの号外 と出来ます。 …内容的にかなり凡句ですが。 ◇ 桝田絵理奈。 十とおの目を集めし鰤ぶりは丸一本 鰤一本家族五人の目を集め(添削後) 市場の競りにしちゃ人数が少ないと思ったのよね。 やはり、そこは「家族」と書かないと伝わらない。 下五の「丸一本」は、 「丸一匹」からの造語かと思ったけど、 ネットを見たら、そういう言い方もなくはないようです。 動詞は過去形でなく現在形にすべきですが、 そもそも「目を集める」ってのが説明くさい気もする。 端的に、 鰤一本家族五人の前にあり ぐらいでもいいかなあと思います。 ◇ 長野智子。 新元号 重なるシュプール 光さす シュプールのひかり 新元号発表(添削後) 三段切れ。 2つの動詞の使い方も不用意です。 「シュプールが重なる」なのか、 「新元号が(シュプールに)重なる」なのか分からないし、 「光さす」は倒置法にも見えるので、 「新元号」や「シュプール」に掛かるように読める。 句材の良さで評価されたのでしょうが、 よくこれで67点ももらえたなって感じです。 添削句は18音だけど、 長音、撥音、促音が入って字余り感は少ないから、 いっそ原句と同じ19音にして、 新元号発表 光さすシュプール でもいいかなと思います。 なんなら20音まで欲ばって、 新元号 光さすシュプールの重なり と書いてもいい気さえする。 そもそも日光は「差す」ものだけど、 雪原にまぶしく反射する冬の陽光なら、 あえて「さす」と書くだけの効果はある。 ◇ 的場浩司。 昭和逝く 凍星今日もそこにある 長野アナの詠んだバブリーな改元とは対照的。 実際、昭和天皇を詠むとなれば、 「戦争責任」と「戦後復興」の相反する面から、 そのイメージが必然的に引き裂かれる。 昭和期の「戦争・破滅」と「平和・繁栄」の、 両極を負うのが冬の季語《凍星》の輝きですね。 なお、字面的に「今日」が昼間っぽいので、 字余りでも「今宵」にすべきかな…ってのはあるし、 それを17音に収めるなら、 昭和逝く 今宵も凍星はそこに と出来ます。 ◇ 清水アナ。 スパイクに詰める号外 冬の雨 どこが悪いのかしら?? とても良い句だと思います。 形は過不足なく整ってるし、 試合に負けた悲しみらしきものも窺わせる。 これを「普通に凡人」とは、かなり不可解な査定。
◇ 千原ジュニア。 極月の号外 無傷のチャンピオン これは文句のない出来。 どこにもボクシングとは書いてないけど、 全体的な字面に凄みがあるので、 なんとなくボクシングを想像させるのね。 そこが巧いし、句材もジュニアらしい。 ▽過去の記事はこちら https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12 水彩画というより絵本! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.01.02 03:28:32
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