穴埋め
今日は内容ではなくて、翻訳について。
仕事を持ってきてくれた人は、インタビューをした本人で、
「インタビューだから、専門的な話は少なくて簡単」といっていたが
実際、インタビューは、行った本人が訳すのでない限り、そう簡単ではない。
確かに、心臓移植に関する専門用語が並べば、辞書をたくさん引くし、
辞書に載っていなくて、参考文献をひっくり返して適切な表現を見つける作業もする。
でも、学会の発表とは違って、テレビのドキュメント向けに難しい専門用語を並べて説明する先生はあまりいない。
説明しているだけなら、客観的なフレーズが並ぶので、
語彙の難易度は高くても、何とかなる。
ただ、インタビューになると、言葉にならないものがたくさん出てきて、
それは、インタビューをしているものとされているものにしか分からない何かであったりする。
その場では、お互い分かり合っているから、片方が省略しても、片方はそれについて殊更尋ねたりしない。それをすることで、話の流れが壊れてしまうこともあるので、敢えて避けたりもする。
そんなの、インタビューだけ渡されている人には、掴みがたかったりする。
語彙的には簡単なのに、言葉がたりないので言ってることが分からない。
もしくは、その場の雰囲気でインタビュー者が「分かる分かる」と思っていても、
実際にテープ起こしをしてみると、そこここが抜けていて、
この人は、まとめると何が言いたかったのかな?
ということもある。
そういうわけで、インタビューの翻訳は、
インタビューがどのように進められているかによって、
とても労力のかかるものになったりするのであった。