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カテゴリ:ミンツバーグ研究
多くは、外部環境の機会と脅威、内部資源の強みと弱みを把握して、機会に強みをぶつけることが、唯一最善の戦略であると信じて、戦略ドメインの策定に移る。 ここで、ポーターのファイブ・フォース・モデルや競争優位戦略、アンゾフの成長ベクトル、BCGのPPMなどの分析ツールを駆使してドメインと戦略方向を決め、経営資源の配分とコア競争力を形成すれば、お定まりの「経営戦略」、一丁上がりである。 こうした「分析型アプローチ」は、整合性や一貫性さえ保たれていれば、あえて異論を差し挟む余地がない。しかしこれは机上のプラン、実際には、こんなに綺麗にことが進むのだろうか?と疑問が沸く。 「分析型アプローチ」の問題点が指摘されて久しい。 そのポイントは、 1.環境はすべて分析可能としているが、実際は不可能に近い。 2.外部環境に対する内部資源の適応を固定的に考えている。 3.組織メンバーは、トップダウンの戦略を十分理解しその通りに動く。 4.経営トップは、すべての戦略代替案の列挙と予測を完璧に行うことができる。 としていることなどである。 予測し得ないほど止めどなく動く状況を、ある時点で静止させて捉えたワンパターンのアプローチと言えそうだ。 「初めに戦略ありき、後は行動あるのみ」というのが「分析型アプローチ」だ。しかし経営の現場には、目まぐるしく変化する環境に適合するために、「走りながら考えている」という実情がある。ここで戦略は、経営トップだけのものではない。組織メンバー全員の参画と創意から生み出されている。 こうした「分析型戦略論」の問題を克服しようとして現れてきたのがミンツバーグ等による「プロセス型戦略論」である。 「プロセス型戦略論」では、「分析型戦略論」のように、策定と実行を二段階に分けようとしない。両者は密接不可分に結びついているとみる。これは現場感覚に合う。一通り計画は立てても、実施過程で軌道修正をしながら目的に向かうことが常だからだ。 「わたし戦略たてる人」、「あなた戦略おこなう人」というわけにはいかない。 「策定」しながら「実行」し、「実行」しながら「策定」する。しかも「戦略」は、特定の戦略策定者や経営トップの頭の中にあるのではなく、メンバー全員が持ち合わせていると考える。となれば、メンバー全員を参画させ、総力を結集する仕組みとスキルが必要になる。 この「ソフトスキル」が、MBAから消えた。 「ソフトスキル」の最たるものは、リーダーシップ能力とコミュニケーション能力であろう。 ミンツバーグは「ソフトスキルはMBA教育にうまく適合しない」ことを指摘し、その原因は「教授陣の大半はソフトスキルに関心がないか、それを教える能力がない。一方、若い学生たちはおうおうにして、ソフトスキルを学ぶ準備ができていない」とまで言い切る。(p60) MBAが用意すべき「ソフトスキルコース」については、ここでは特にリーダー教育のための「リーダーシップコース」をあげている。 さらには「ビジネス倫理教育」の必要性に触れている。 「倫理なき戦略は、方向定まらず波間を漂い航海」にも喩えられよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Apr 17, 2010 10:08:22 AM
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