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テーマ:釣り好きの人集まれー(7897)
カテゴリ:小ネタ
同じ釣り場(漁場)で同じ魚をターゲットにしている遊漁と漁業。
資源管理の声が日に日に大きくなる一方、共存は可能なんでしょうか。 遊漁と漁業は共存できるのだろうか。遊漁の調査私、一個人の結論を一番最初に書くと、「遊漁と漁業が上手に共存するには、お互い海、川、湖に出た時に、沢山魚がいて不自由なく釣り、漁ができる環境整備ができていれば可能である。しかしそれは現状で極めて難しい。」と思っています。じゃぁどうすれば沢山魚がいる環境になるのさ? と、言うと釣り場(漁場)から抜く魚などを制御したり、稚魚などを送り込むことで一般的に増加するのが単純に誰でもわかるお話かと思います。 が!ここで摩擦がどうしても起こってしまうんですね(笑) ここで、あえて詳しく書かなくてもご想像のとおり。と言った感じでしょうか。 私も漁師の血筋ですし、小さい頃はよく漁の手伝いをしたもんですが、漁師って本当に危険と隣合わせの仕事です。 想像を絶する仕事の一つかと思います。 真冬なんて陸に帰ってきてからもしんどいんですから…・ さらに、多額の船や燃料、仕掛けの投資をしますし、それなりのリターン(収入)が無ければはっきり言って超絶厳しい職種です。 もっと細かいことを言えば、横のつながりなんかも、大抵田舎ですからと~~~~っても重要だったりします。一人だけおかしいことをしたら、その町にいれなくなるような世界です。ボソ そんな漁師をしり目に、色んな規制の中で仕事しているのに、遊漁者が来て「へーい!!」って魚をホイホイ抜いて帰ったらあまり気分の良い話ではないのは何となく想像できちゃいますね。(そう見えてしまう。) ただ、私も一遊漁者ですから、釣りってそんな簡単なお話の世界でもないし、遊漁にもルールってのがあるし、遊漁船だったり、もしくはそれをアテに本気で仕事してる人もいる、そもそも遊漁対象になってる魚や海って漁師だけの物ではないでしょ。って意見等も当然あるわけですね。 じゃあ、その遊漁に関する実態ってどうなってるのさ?って話なんですが、 調査資料。 ありました。 農林水産庁のホームページです。 PDFファイルで149ページにわたる報告書になります。 「釣り(遊漁)と漁業の共存及び資源管理の推進に関する政策的検討」に係る委託調査事業 報告書 令和2年3月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング この調査の目的・背景として 釣りに関する政策は、釣りと漁業の共存施策と資源管理施策の両者のバランスがとれた施策の体系とすることが実効性の確保から必要である。 と書かれてありました。 そして、どんなことが書かれているのかと言うと、目次を抜粋したところ 我が国における遊漁の状況、国内採捕量の水景、釣りに関する支出額の算定方法、米国の遊漁振興政策、 米国の遊漁資源管理政策および採捕量調査、今後の遊漁と漁業の共存施策および資源管理施策のあり方に関する課題と示唆 について書かれています。 ボリュームが非常にある報告書になりますが、その内容は非常に充実しております。 釣りが趣味と言える方であれば一度目を通していただきたいレベルの報告書です。 ここで全てをご紹介することはできないので、ご自身で読むことをオススメしたいのですが、これを読んだ私の感想としては 日本において、現状では遊漁と漁業の共存は極めて難しい。 と思いました。 ここに記載されている、一定の評価のある米国の制度ですが、やはり行政のリーダーシップが非常に強いです。 そして非常に管理意識の高いアングラー・団体も多そうです。 P106のマサチューセッツ州の主なSFRプロジェクトを見ると、 7歳から15歳を対象として釣り人の教育やボートインフラ助成、船舶清浄法、責任ある釣り技術、一般利用促進、そして「釣り人データ収集チーム」なんてものもあるそうだ。 州海域における魚の生物学的なサンプルを取得するためのプロジェクトとのことで、参加者は研究年報ももらえるとか。 また、違反への対応も厳しいと言う印象。 正直日本ではここまでは無理かな・・・。と。。 そもそも、国の構造や国民性が全く違いますし、そこまでやらないとダメなのでしょうか。 そう考えると、海外の成功例は非常に良い例の一つではあるが、マネをしてもあまり意味はないんじゃないのか? とすら思ってしまいました。 国が主導の政策より都道府県主導の政策の方良いのでは?やはりですね、民主主義の日本ですから国民の意見を広く聞き入れ導入するのがスジかと思うんですけど、釣り、漁業と言っても色んな地域の色んな釣りや漁がありますので国が簡単にこう!!と言うのは難しいんではないでしょうか。なので、日本では都道府県主導の地域ならではのフットワークを活かした政策がいいんじゃないのかな。なんて思っています。 そして、意見を述べる国民(遊漁者・漁師含む)もクレーマー的な発言を控え、両者の話し合いの中で方向性を決めて、徐々に徐々にお互いが寄り添い改善してくのが一番ベストなんじゃないのかって思っています。(まずは話し合いの場がタクサン必要。) ただ、遊漁者ってだれ?っ色んな考えの人沢山いるじゃん。って感じなのでそこが難しいかもしれませんね。 いきなり、この国はこれで成功してるから、日本もこうだ!!って決めつけるのはちょっとナンセンスかな…。 さてさて、北海道なんかでも、今は釣り人が釣るサケの量が多すぎて、資源が減りまくってるぐらいのことが言われる時代になってきましたね。 確かに、外から見た感じ、シーズン数か月にわたって、港や河口にずら~っと朝から晩まで釣り人がいる様子を見ると、そう言われてもおかしくはないのが現状ですが、実際のところ釣り人がどのぐらいサケを抜いているのかなんてわかってないんですよね。 マグロなんかもそうです。 今年は採捕量を調べるどころか、開始早々2週間たらずで、え?ってなって、8月の途中で採捕禁止って匙を投げてしまいました。 そもそも、報告の話も、「採捕したら報告」、ではなく「釣ったら報告」でしたからね(笑) それをあたかも採捕したように数字に乗せられて、たった2か月で一方的に採捕禁止にされたのですからとんでもない年でした。 そうなると資源管理をしようにも、実態がわからなのですから、なかなか数字の根拠をもとに政策を実施するのは難しくなってしまいます。今年一年は見事に棒に振るような感じになりました。 漁獲量はわかっていても、遊漁者が釣る量がわからないのでは相対的な評価はできないと思います。 ある年、北海道の某河川では漁獲量が減っていることを理由に規制が入りました。 しかし、その河川では釣り人が釣る魚の量はわかっていないんですね。 釣り人によってサケ漁獲量が減っていると言う、因果関係は詳しくわかっていないんです。 それってどうなの?って思いませんか。 なので、釣り人が釣る量と言う数字も、資源管理の枠中では今後重要になっていくると個人的に思っています。 少し脱線したので戻ります。 p44,45を見ていただきたのですが、釣り人の漁業や水産資源管理に関する政策意識について書かれています。 わりと資源管理が必要だと思っている釣り人って多いのですが、釣りによる釣果報告の義務付けについては反対派が非常に多く、捕獲制限の強化などについては、反対派と賛成派が拮抗しているのがわかりますね。 単純に釣り人内で意見がこんなに割れているのだから、私が釣り人代表でこうです!!! って勝手に行政に言って、理解してもらうのも非常に難しいことがわかります。 言われた行政も、あーはいはい。 とりあえず、あなたの言い分はお聞きしますね〜。ぐらいな感じかな(笑) 長くなりましたが、魚さえ増えれば、共存可能だと思いますが、そこに至るまでが簡単じゃない。 遊漁と漁業の共存って、そもそも遊漁者内での意見すらまとまっていないのに、漁業と共存ってそんなの今すぐは無理だよ。 だから現状では極めて共存は厳しいと言う私の感想になりました。 まとめローカルアングラーの一個人の感想でこんな感じですが、全国をまたぐようなアングラーの意見なんかも聞いてみたいですよね。実際のところ一部の湖や河川では漁業者と遊漁者が良い関係で共存しているところはありそうです。 共存については急務であることには変わりないと思うのですが、話は慎重に徐々に進める必要があると思ってます。話が落ち着くのはいつになることやら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.01.18 07:42:23
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