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テーマ:日々自然観察(9852)
カテゴリ:昆虫(アブラムシ)
このイロハモミジ、以前新葉を紹介したことがあるが、新葉も紅葉も普段は冴えないので、我が家では至って評判の悪い木なのである。 紅葉を接写しても面白味はないと思うので、葉裏にアブラムシでも居ないかと探してみた。この木にはこれまでアブラムシが沢山付いた記憶はないのだが、度の強い老眼鏡を掛けて葉裏をよ~く調べてみると、極く僅かだが、アブラムシが付いていた。
無翅形で体長約2mm、アブラムシとしては中程度の大きさである。残念ながら有翅虫は見つからなかった。 全農教の「日本原色アブラムシ図鑑」に拠ると、カエデ属(Acer)に寄生するアブラムシとして、トウキョウカマガタアブラムシ、ニワトコフクレアブアムシ、モミジニタイケアブラムシの3種が挙げられている。図版を見てみると、写真のアブラムシはモミジニタイケアブラムシ(Periphyllus californiensis)に酷似しており、他2者とは形も色も著しく異なる。
九州大学の日本産昆虫目録を見ると、Periphyllus属には6種が載っており、その中にイタヤニタイケアブラムシ(P. viridis)と云うこのイロハモミジに寄生していてもおかしくない近縁種がある。しかし、先の図鑑によると、この種は体色が緑色とのことなので、写真のアブラムシはモミジニタイケアブラムシとして良いであろう。アブラムシ科ケアブラムシ亜科(Chaitophorinae or Callaphidinae)に属す。
図鑑に拠れば、このアブラムシは寄主転換は行わず、常にカエデ類(Acer)に寄生する。夏期になると、扁平で周縁に団扇状の突起を持つ変わった形の越夏型幼虫が出現するのが特徴で、初齢幼虫は何もせずにジッと夏を越し、秋になって発育を始めて無翅形成虫に生長するとのこと。「虫ナビ」と云うサイトを見ると、名前の「ニタイ(二体)」はこのことに由来すると書かれている。 今の時期、アブラムシの無翅形であれば、卵生雌の可能性もある。しかし、図鑑に拠れば、本種の卵生雌は後脛節が顕著に太いとあるので、これは普通の胎生雌であろう。アブラムシの生活環は非常に複雑だが、それに応じて虫の形態にも変化を生じる。全く、ややこしい連中である。
今年も余すところ10日になってしまった。今月の更新はこれでまだ2回目、今年中にもう1回更新したいと思うが、果たして出来るであろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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