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テーマ:読書(8189)
カテゴリ:本日読了
2023/05/21/日曜日/本日晴天、初夏らしく
〈DATA〉 角川書店/ 著書 艾未未 アイウェイウェイ 訳者 佐々木紀子 2022年12月1日 第1刷発行 〈私的読書メーター〉〈中国モダンアートにも疎い私は著者アイ・ウェイウェイを初めて、だが、本書で能く知り得た。自伝とあるが全体の3分の1を割いて詩人だった父の生涯が先行する。絵の志を立てパリ遊学を果たし民主主義に共鳴しながら党独裁の匙加減一つで辺境に追いやられ苦難の人生を歩んだ。清王朝末期、日中戦争に重なる怒涛の大変革の時代描写は一つの山場。インターネット勃興期に米国滞在でアートシーンの自由を得たウェイウェイが祖国で葛藤するのは道理。取調室の詳細はこれ自体インスタレーションのような錯覚を覚える。後日作品化の強かさは天晴れだ。〉 交河故城にて まるで隊商が街を通り抜けていったかのよう 人の喧騒に混じるラクダの鈴の音 変わらぬ市場のにぎわい 尽きない人と荷馬車の流れ いや、違うーー豪奢な宮殿は 荒れ果てて廃墟となった 千年の歓喜と悲哀、出会いと別れは 一片の痕跡すらない 今生きている者は、全力で生きねばならぬ 天地が記憶してくれると、望んではならぬ 1980年、艾青の詩が巻頭を飾る。 艾青とは著書の父である。 この詩からタイトルが定まっている。 千年、誰がこの土地を、この家族の二代に及ぶ無益な苦役を記憶するというのか。しかし私は試みないではいられない。なぜなら息子、艾老が生まれたのだから。 著書のそんな声が聞こえる。 今現在著書はドイツ在住だが、彼自身、ドイツが産んだ社会芸術家ヨーゼフ・ボイスを彷彿とさせる。 アートを狭義な世界から解放し、現実をアート作品に展開していく、時間や個々の人びとの関わりの変化を包摂するといった手法が共に見られる。 ように思われる。 芸術における至高の価値は自由なのだから 不自由を自由に変換することは芸術行為である。 と私は考える。 そんな気概を彼に覚えるし、それを実行した彼の生命力、怒りを創造力に転換させる意志に感嘆する。 彼に匹敵しうるアーティストを日本に探すとしたらだれだろうか。 岡本太郎か草間彌生 或いはオノヨーコ、坂本龍一、安藤忠雄? 規格外、個人で国とか世界に対峙しうるそんな若いアーティストを切に求む。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.05.21 09:33:35
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