乳がんになればどのくらいお金が必要になるの?
現在、乳がんは全身病と考えられています。乳がんと診断された時点で、半数以上の症例では、既に他臓器に微小転移が存在することが明らかになっています。「乳がんは手術したら終わり」という時代はもう終わりました。手術は治療の一方法に過ぎず、放射線治療、薬物療法(化学療法、ホルモン療法)を組み合わせて治療を行う「集学的治療」が、現在では乳がんの標準的治療となっています。では、いったい乳がんになれば費用はどのくらいかかるのでしょうか?一般的な治療費例は、次のとおりです。【公的医療保険適用分】手術療法(10日間入院) 総額65万円のうち自己負担分(3割負担) 約20万円放射線療法(25回)総額約30万円のうち自己負担分(3割負担)約9万円化学療法CMF(6ヵ月間)総額約10万円のうち自己負担分(3割負担)約3万円化学療法AC+T(6ヵ月間)総額約70万円のうち自己負担分(3割負担)約25万円ホルモン療法抗エストロゲン剤(5年間)総額約85万円のうち自己負担分(3割負担)約26万円LH-RHアゴニスト製剤(2年間)総額約135万円のうち自己負担分(3割負担)約40万円20万+9万+3万+25万+26万+40万=123万円【公的医療保険適用外】差額ベッド代 個室や少人数部屋などに入院したときにかかる費用です。医療機関によって異なりますが、1日1,000円程度から1万円以上になることもあります。特殊な医療費 人工乳房による乳房再建術や未承認薬、先進医療など公的医療保険が適用されない治療費です。その他の雑費 医療機関への交通費、テレビのレンタル代、衣類代やクリーニング代などです。乳がんはなぜお金がかかるかといえば、1つは転移の問題です。そして温存や再建、未承認薬や先進医療など+αの医療費が発生することがあるからです。乳がんになって多額の保険金をもらうより乳がんを早期発見する方がいいですよねそのためには男性諸君の日頃のスキンシップがものすごく重要です我が家では不要なものになってますけど用語解説AC+T療法AC療法は、ADM・CPAの頭文字をとっています。3週間に1回、この2種のお薬の点滴を、4回繰り返します。副作用は「脱毛」です。吐き気等が出現することもあります。AC+T療法は、AC療法を4サイクル終了した後に、Taxol(タキサン系の薬剤)を4サイクル(=3週間に1回を4回)投与します。 CMF療法CPA・MTX・5-FUの頭文字をとっています。90年代に手術後の補助化学療法としてスタンダードに行われていた治療法です。21世紀に入り施行の割合は減りましたが、ザンクトガレン・カンファレンス2007(術後補助化学療法の世界的標準モデル)で再評価され、第一線に戻ってきました。MTX、5-FUは、1日目、7日目に点滴を、CPAは1-14日目に内服を行い、15-28日は休薬、をひとつのサイクルとして、それを6回繰り返します(=つまり6ヶ月の期間が必要です)。副作用が比較的軽く、脱毛もまれのため、初回から外来での施行が可能です。抗エストロゲン剤ホルモン(内分泌)療法は、がん細胞を直接攻撃する抗がん剤よりはマイルドですが、副作用が少ないので長期間投与することができます。乳がんの中には女性ホルモンの影響を受けて、増殖するものがあります。女性ホルモンの一種であるエストロゲンが、乳がん細胞中のER=エストロゲン受容体と結びつき乳がんの増殖を促します。抗エストロゲン剤は、最も標準的な薬の一つで、乳がんの増殖を促すエストロゲンが受容体と結合するのを妨げます。閉経前の若い人より閉経後の人の方が高い効果を得られます。LH‐RHアゴニスト製剤卵巣機能が働いている閉経前の人では、乳がんの増殖を促すエストロゲンは主に卵巣で作られます。LH‐RHアゴニスト製剤は、卵巣でエストロゲンを作ることを促す下垂体のホルモンの働きを抑える作用があります。閉経前の方はLH‐RHアゴニスト製剤、閉経後の方にはアロマターゼ阻害剤を使います。閉経前の方には、LH‐RHアゴニスト製剤と抗エストロゲン剤を併用することが標準治療の一つとなっています。ホルモン療法剤は、抗エストロゲン剤のように毎日、経口投与するものと、LH-RHアゴニスト製剤のように4週または12週ごとに1回、皮下脂肪内に注射するものがあり、いずれも外来通院で治療できます。投与期間は、抗エストロゲン剤が5年、LH-RHアゴニストが2~3年を目安としています。