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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2017.03.08
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カテゴリ:東日本大震災

先日、早稲田大学で開催された研究報告会にて、報告を担当したことは、2月23日付ブログでもご案内しました。

http://plaza.rakuten.co.jp/yyy0801/diary/201702230000/

実は凄く正直に白状すると、報告の準備をしているときは、

・今現在、私自身が、福島の原子力発電所事故を受け止め切れず、どうしたら良いか分からないことだらけで、途方に暮れて困り切っている状態なのに、悠長に諸外国の原発事故賠償の仕組みなんて勉強している場合じゃないのでは。
・それに、そもそも自分の報告も「困っている」どまりで「じゃあ、具体的にどうすれば良いか」を示せない。私の今の全力を尽くして6年間を苦しい思いで振り返ったけれど、抽象論に止まる自分が許せない。

等と思っており、報告者であるにもかかわらず、研究報告会それ自体から何かを得ることは期待していませんでした(ごめんなさい!)

でも、いざ参加してみて、本当に心が元気になりました。毎年本当に辛い3月11日も、近づいてきていますが、何とか心折れずに過ごせそうな気がするほどです。

そう思えた最大の理由は、学問というものは、「今すぐ役に立つかどうか」を基準にしてはいけない、という感覚をものすごく久々に思い出せたことにあります。
大学時代も、大学院時代も、法学という実学を学びながらも、それが今すぐ自分の実生活に役立つかどうかを度外視して、色々な法の成り立ちや仕組み、趣旨を知ること、学ぶことはとても興味深く面白いことでした。

自分にとって「今」「すぐに」役立つ話が、豊かで深いとは限らない・・・。
自分の取り組む個別案件から一旦離れて、大きな広い視野で物事を考えることはなんて楽しいことなのだろう。活き活きとお話しされる他の報告者のご報告をお聴きした時間は、私にとって、この上なく得難い、自分の頭と心が誰にも何にもとらわれずにのびのびと動くような気がした素敵な時間でした。

また、私が困っていることは、そう簡単に答えが出せないことなんだ、だから、みんなも困っているんだ、だから、一生懸命これからも考えていくしかないんだ、そうとても素直に思えたことも大きかったのです。答えが出せないのは当たり前、問題の一部にしか取り組めていないのも当たり前、でも、それが分かっただけでも、私には大きかったんですね。自分を許せないとか言っている暇があったら、もっと沢山のことを学んで、もっと沢山のことを考えようと思いました。
自分の6年間を、振り返って言葉にする作業を経て、私もまた、自分の限界や、視野の狭さを思い知りました。

もっと知りたい、もっと学びたい、もっと大きくなりたい、こんな気持ちが渾々と沸いてきました。

さて、前置きが長くなりましたが、実はここからが本題です。
研究報告会には、複数の新聞社の方もお見えだったのですが、この研究報告会における私の発言が3月3日付の朝日新聞に掲載されました。

http://www.asahi.com/articles/DA3S12822832.html

ただ、私が、自分の発言が新聞に出ていることを知ったのは、私の留守中に、事務所に、下記の電話が掛かってきたためです。この電話を頂いていなかったら、永久に気がつかなかったかもしれません。

Xさんという男性から、
「朝日新聞に記載されていた原発被害の葦名先生の記事を読み、お電話しました。私自身も避難者ですが、記載されていることと全く真逆の考えです。こういう記事がでるとますます帰りたくても帰れなくなり、現場のことを、実態を何もわかってらっしゃらないのではないでしょうか。そのことを言いたくてお電話しました。」
と電話がありました。別段怒っている感じでもなく、淡々と仰っていました。


外出先で、担当事務局Aさんのメールを確認し「朝日新聞の記事?」と検索し、記事を確認しました。
その上で、名前しか出ていないこの記事から、私の事務所の電話番号を調べて、「淡々と」この伝言を残されたXさんの気持ちを考えると、私はたまらない気持ちになりました。

お話をお聴きしたい。ただただ心と耳を傾けたい。
そう思い、先程思い切って、お電話してみました。
私の心に染みこんでいくようだった大切なお話を、多くの方々に知って頂きたいと思いますので、個人情報に触れない範囲で、ご紹介します。

・3月11日が近づくと、溢れるほど沢山の記事が出ます。でも、全然現場のことが分かっていない。私達の気持ちは分かっていない、私達の気持ちを聞いてくれる人はいないと思います。
・今回の記事は、避難指示解除が早すぎる。避難指示解除なんて、むしろしない方が良い。避難指示解除を今するのは悪いことだ、と書いてあるように思えます。
・でも、避難指示解除をするかどうかの問題と、戻るという決断をするかどうかの問題は別問題ではないのですか。
・避難者の思っていることは、一人一人全部違います。避難指示解除されようとされまいと、避難先で住み続けるという決断をする人はいます。でも、避難指示解除がされる日を待ち望んでいる人もいます。すぐに戻れなくても、避難指示が解除されれば戻れる日が来るかもしれない。そう思うことで、希望を繋げる人もいます。
・でも、「避難指示が解除されても帰りません、帰りたくありません」という声は報道されても、「もう一度、元の家に帰りたい。早く避難指示を解除してほしい」という声は報道されません。多分、前者の方が「総じて」多いのでしょうね。アンケート結果もそうだったようですから。
・ただ、私は思います。「総じて」はあくまでも「総じて」でしょう。そうじゃない意見を持つ人もいるでしょう。一人一人違うのに、避難者は避難指示解除を望んでいない、という意見が避難者の声になってしまうのですか。
・避難指示の解除というものは、放射線量が下がったら、直ちに行われるべきことではないですか。避難者が帰るかどうかと関係なく、淡々と進められるべきことではないですか。帰る人がいなさそうだから、解除しなくても良いということにはならない筈ですよね。
・でも、実際には、帰る人がいなさそうなら、解除する理由はない、という流れができてしまう。「帰らない」と決めている人の声は大きい。でも、正面切って、「帰りたい」「帰ります」と言えないだけで、内心は「帰りたい」人の声は誰にも聞いてもらえない。
・帰還困難区域は、十分に賠償を受けているでしょう、って言われます。私にはうまく言えませんけど、賠償を受けているんだから帰れなくても良いでしょう、というのは違うのではないでしょうか。


・・・感情を波立たせるわけではなく、それこそ、淡々と、「こんなこと言ってももうどうにもならないのは分かっているんですけど」と苦笑いを交えながら、お話しして下さったXさん。

本当にありがとうございます。本当にお話ができて良かったです。
何の解決策も申し上げられなくて申し訳なかったけれど、でも、お電話でもお話しした通り、私は、Xさんの気持ちを「そのまま」受け止めます。それだけはお約束します。

誰かを守ろうとすると、他の誰かを確実に傷つけてしまうのが、原発事故です。
寄り添うべき誰かを特定できないのが原発事故です。

でも、言葉を飲み込みすぎると、誰も救えません。
私は、苦しくても自分の言葉から逃げないと決めました。
もどかしいけど、難しいけど、それでも、私は逃げないで、発信を続けようと思います。

Xさんが仰っていた通り、一人一人違うことを正面から受け止めて、一緒に悩み続けたいと思います。
Xさん、お電話下さって、本当にありがとうございました。
また、いつでも、本当にいつでも、お電話下さいね。








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Last updated  2017.03.08 20:50:47
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