本稿の主人公であるサム・ジョーンズも、ドラムスの
フィリー・ジョー・ジョーンズ同様、中年に近づいた頃から
シーンに浮上してきたプレイヤーだ。
ハードバップと言うと若者の勢い一発みたいなイメージが
拭えない方もいるが、リズム隊には意外と熟練者が多い。
サム・ジョーンズは、40年代からポール・ウィリアムスや、タイニー・
ブラッドショーなどの楽団で活躍、56年にキャノンボール・アダレイの
バンドに加わった頃からジャズ界に知られ始めた。
キャノンボール・アダレイは58年にリヴァーサイドと契約するが、レーベル・オーナーの
オリン・キープニューズはサム・ジョーンズのプレイにも大いに惚れ込み、以降しばらくの間
サム・ジョーンズはリヴァーサイドの常連セッション・ベーシスト(※)となる。
サム・ジョーンズの初リーダー作である本作は編成を違えた2つのセッションで構成されている。
ひとつは小型ビッグバンドと言うべきもので、マイナー・レーベルらしからぬ贅沢な顔ぶれに会社側の
彼に対する熱意が伺える。 そしてサム・ジョーンズは半数の曲でチェロ(※2)を披露
別にベーシストを従えて、悠々とメロディを奏でている。
この路線は成功を収め『ザ・チャント』『ダウン・ホーム』等の続編も作られた。
ザ・ソウル・ソサエティ/サム・ジョーンズ
ザ・ソウル・ソサエティ/サム・ジョーンズ に加筆・修正を加え転載。
(※) ベーシスト:ベース奏者。
(※2) チェロ:トロンボーン奏者・向井滋春氏が演奏する事でも有名。
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