本のタイトル・作者
鎌倉うずまき案内所 (宝島社文庫) [ 青山 美智子 ]
本の目次・あらすじ
2019年4月30日。平成が終わる。
憧れの青年雑誌を作る出版社に入社するも、総務部から主婦向け雑誌を担当するうち、雑誌が廃刊になってしまった早坂。
退職届を鞄に入れて、はや2ヶ月。
SF作家・黒祖ロイドの取材のため、鎌倉へ向かった早坂は、そこで不思議な店に足を踏み入れる。
「鎌倉うずまき案内所」。
妙な双子の老紳士が、所長のアンモナイトと助言をする謎の場所。
6年ごとに遡る、渦を巻く時。
二〇一九年 蚊取り線香の巻
二〇一三年 つむじの巻
二〇〇七年 巻き寿司の巻
二〇〇一年 ト音記号の巻
一九九五年 花丸の巻
一九八九年 ソフトクリームの巻
引用
ロイド先生は少しの沈黙のあと、こう言った。
「そうだよ」
そしてサングラスを外して私をまっすぐに見る。
「あなたに向けて、書いたんです」
涙があふれた。そうだったんだ、ほんとうにそうだったんだ。(略)
「読んでくれてありがとう。あなたに、ちゃんと届いてよかった」
感想
2021年読書:192冊目
おすすめ度:★★★★
青山さん三作目。
すべて同じ構成なんだけど、それぞれの本がちゃんと面白いのですごい。
今回は、黒祖ロイドの叙述トリックは最後まで気付かなかった!
それぞれ、悩みの渦の中にいる主人公たち。
転職に悩む、子育てに悩む、結婚に悩む、友人関係に悩む、夢を追い続けるか悩む、来し方に悩む。
私は「巻き寿司の巻」が好き。
過去にどんどん遡って行って、その人がなぜそうなったのかが明かされる。
人と人のつながりが見えて、楽しい。
こういう構成の話がとても好きなんだけど(映画だと「ラブ・アクチュアリー」)なんでこんなに好きなのか分からない。
誰もが主人公、ということなのかな。
誰かの物語での脇役は、誰かの物語の主人公で。
時がくるくると螺旋を描くように、無限の物語が広がっている。
それには、終わりがない。
すごくワクワクする。
青山さん、既刊はあと『猫のお告げは樹の下で』が未読。
新刊『月曜日の抹茶カフェ』も楽しみです。
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