本のタイトル・作者
もっと早く言ってよ。50代の私から20代の私に伝えたいこと [ 一田 憲子 ]
本の目次・あらすじ
PART1 くよくよするのもいいものだ
PART2 自分らしさってなんだろう?
PART3 日々の暮らしで学びとるもの
PART4 人とのかかわりでわかること
PART5 ココロとカラダはやっぱり基本
引用
世の中には、先人が残してくれた「真実」や誰かが見つけた「発見」が溢れています。でもそれと、「自分でわかったこと」は別もの。生きていくということは、そうやって自分の外側にあるものを内側に取り入れて「わかっていく」道のりなのだと思います。そして、一度発見した「真実」を少しずつ更新していきます。つまり、若い頃にあんなに避けていた「失敗」を、歳を経てからは「発見の場」にひっくり返すように、私たちは暮らしながら、身の回りにあることを、何度も定義しなおすことができる……。
感想
2022年261冊目
★★★
50代の筆者が、20代の頃の自分に語り掛ける形で書かれた本。
『大人になってやめたこと』と重なる内容も多かった。
内容には首肯し、また人生の先輩の言葉に「そうなのかあ」と思う。
けど、文体が…私は無理なんだよなあ。この女性誌のノリ。
古臭く感じる。何というか、昭和の雑誌切り抜いてきたみたい。
読者に喋りかける体なのが無理…。ふつうに書いてもらった方が読みやすい。
筆者の、
頑張る(=仕事をする。生産して成果を得る)ことが、幸せになることではないのでは?
老いれば叶わなくなる「頑張る(生産)」を価値に置いていては、幸せになれないのでは?
という問いと、アプローチ方法の変更は、
・
老後とピアノ [ 稲垣えみ子 ]
・
私が作って私がときめく自家発電ブローチ集 [ 光浦靖子 ]
ここらへんのお2人が書かれていることとも重なるところがあり、「四十にして惑わず、五十にして天命を知る」って本当なんだなと思った。
私は今年で36歳。
50歳になるまで、あと14年。
その頃子供は21歳と、19歳。
自分がどうなっているのか、まったく想像できない。
14年という年月は、途方もない時間のように感じられる。
その時に「こうしておけばよかった」と思うとしたら、何を思うのだろう。
それを知りたくて、先人の知恵を借りたくて、こういった本を読んでいる。
・どうしても心が通じない相手に「出さない手紙」を書いて相手と対峙する。
・幸せは「小ささ」「ささやかさ」の足し算。
・「わかる」ためには、とにかく「やってみる」。
・相手に悪意を想定しない(きっとみんないい人)
・人の能力は優劣に関係なく、それを誰かを助けるために使えるかどうかが重要。
ここらへんはグサグサ刺さりました。
「私の方がすごいもん!」は、私、ついやっちゃうんですよ…。
だから私のことを認めて!私のことを好きになって!っていうアピールなんだよね。
いくつなんだよ。痛々しい。
全力で良い人ぶって、疲れ切る。
そのくせ自信がないものだから、褒められると偽悪的に振る舞って誤解を招く。
はー…。どうにかしたい。
14年前の私は、22歳だった。
あの頃に比べれば、ずいぶんマシになったと思うことがたくさんある。
たぶん22歳の頃の私に、今の私のことを話しても、信じてくれないくらい。
想像もしなかったステージにいる。
そして私は、今の私のほうがずっと好きだ。
目減りする若さに価値を見出すよりも、いくつもの嵐を潜り抜けてきた今の私のほうが。
だから、これから14年のあとに。
私は、私に言えたらいいなあ。
「あなたはきっと、私が私だって信じられないでしょうね!」
その人がどんな風かを思い描けば、おのずとこれから進む道も見えてくる。
刻まれた皺と染み。白髪染めした明るい髪。
彼女はにかっと笑う。人懐っこい笑顔。優しそうで、厳しい目。
豪放磊落。天衣無縫。そんな言葉が頭に浮かぶ。
「私は私が好きよ。今の私が一番好き。これまでの、どの私より」
もちろん、あなたもふくめて。
自信に満ち溢れた彼女は、14年前の私に笑う。
きっともう彼女の舟は、少々の嵐ではびくともしないのだろう。
どうすればあなたになれるかな。あなたみたいに、なれるかな。
私の問いかけは、驚くほど頼りなく、子供っぽく響く。
彼女は大仰に目を輝かせて、悪戯っ子のように赤い唇の端を上げる。
「秘密!」
だってそれを言ってしまったら、つまらないでしょう?
今は、迷えるその道行きを楽しんで。
日々の積み重ねは、いつかここへ辿り着く。
彼女は芝居めいた仕草で、短い指をクロスさせて言う。
―――だから、どうか、良い旅を。
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