テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
当たり年の1956年末の一風変わった盤 1930年生まれで、もはや数少なくなった存命中のジャズ・ジャイアンツの筆頭(まもなく84歳)、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)。このテナー・サックス奏者の長いキャリアの中でも、1956年というのは、格別の当り年だった。 この年に彼が残した録音としては、超有名盤『サキソフォン・コロッサス』(同年6月録音)があるが、他にも、『プラス・フォー』(3月録音)、『テナー・マッドネス』(5月録音)、『ロリンズ・プレイズ・フォー・バード』(10月)、BN第1作の『ソニー・ロリンズVol. 1』(12月録音)と、リーダー作だけで6枚(未発表曲を含めた編集盤の『ソニー・ボーイ』を含めると7枚)ものリーダー作を残している。もちろん、これ以外にも、前年に復帰に際して加わったブラウン=ローチ・クインテットでの演奏(例えば『アット・ベイズン・ストリート』)もある。翌年にも『ニュークス・タイム』や『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』と名作が続くわけだから、別にこの年だけが“当たって”いたわけではないにせよ、この生産性の高さは、本人のキャリアの中でも、最も多忙でエキサイティングな1年だったに違いない。 さて、本盤『トゥア・デ・フォース(Tour de Force)』の大きな特徴は、悪く言えばそのアンバランスさ、よく言えばその緩急のつき具合にある。3.と5.がヴォーカル・ナンバーとなっていて、普通ならロリンズ自身がサックスで“歌う”のを得意とするところ、アール・コールマンのヴォーカル入りとなっている。このコールマンの起用は、ロリンズ自身の希望だったとのこと。冒頭の1.「イー・アー」にも典型的にみられるように、『サキソフォン・コロッサス』で発揮されているキレと閃きに満ちたインプロヴィゼーション曲が過半を占める中、上記ヴォーカル入りの2曲はしっとりとしたスロー・ナンバーで、コールマンの声にごく自然な感じでロリンズの“バラード吹き”としてのよさが絡む。 曲目の中で気になるかもしれないのが、2.「ビー・クイック」と4.「ビー・スウィフト」。ともに友人の名に因んだオリジナル曲ということらしいのだが、テーマなんて何のそのというひたすらのアドリブで、瞬発力に満ちた演奏を披露する。このあたりは、ロリンズ本来のものと同時に、前年から一緒に活動したブラウン=ローチ・クインテットに刺激された部分もあるのかもしれない。 最後に、CD化によって追加収録された6.「ソニー・ボーイ」にも触れておきたい。もともと録音は同じセッションだったが、当時の本盤には収録されず、別途『ソニー・ボーイ』という盤に収められた曲。同盤は、本盤から3曲(ヴォーカル曲以外)と別のセッション(『プレイズ・フォー・バード』のセッション)の1曲と併せて、この曲を表題曲にして編まれたものだった。CDで収録時間が長くなったためか、現在では同じセッションの曲として『トゥア・デ・フォース』の追加曲に含められており、軽快さとアドリブの心地よい演奏。全編通じて言えることだけれど、この曲においても、同時期のロリンズの録音の多くに関わったマックス・ローチのドラムの存在感が大きい。 [収録曲] 1. Ee-Ah 2. B Quick 3. Two Different Worlds 4. B Swift 5. My Ideal 6. Sonny Boy [CD追加曲] [パーソネル、録音] Sonny Rollins (ts) Kenny Drew (p) George Morrow (b) Max Roach (ds) Earl Coleman (v, 3.& 5.) 1956年12月7日録音。 【当店専用ポイント(楽天ポイントの3倍)+メール便送料無料】SONNY ROLLINS / TOUR DE FORCE (輸入盤CD) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014年07月12日 06時15分24秒
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